野田前首相の幹事長起用は蓮舫代表にプラスに働くのか

写真拡大

 民進党の蓮舫代表が断行した「野田佳彦幹事長」という仰天人事に、党内には不満・不平やシラケムードが広がっている。野田氏は政権転落のA級戦犯のうえ、代表と幹事長を同じグループで独占するからだ。蓮舫氏は「二重国籍」でウソをついたが、野田氏も「消費税増税」をめぐって国民から「ダマされた」と批判された過去がある。民進党の支持率が上がる要素は乏しそうだ。

 「私が『女房役』というのもヘンだが、(党運営などの)最大の要は女房役である幹事長だ。あのときの失敗を二度と繰り返さないという思いを持ち、安倍晋三首相と対峙できる方を選んだ」

 蓮舫氏は17日朝、日本テレビ系「ウェークアップ!ぷらす」に中継で出演し、幹事長人事について、こう説明した。

 同番組は、蓮舫氏にとって鬼門だ。代表選候補として3日に出演した際、何の確証もなく「(台湾)籍を抜いている」と断言した。その後、「二重国籍」で発言を二転三転させ、結果的に「ウソつき」というイメージが広まったのだ。

 蓮舫氏は16日、党本部で開いた両院議員総会で、幹事長に野田氏を起用する人事を提案、承認された。首相経験者を幹事長に充てる「サプライズ人事」(周辺)だが、党内不満は予想以上だ。

 まず、野田氏には衆院解散(2012年)で失敗し、旧民主党を野党に転落させた「A級戦犯」という批判が依然として大きい。加えて、蓮舫氏は、野田氏が率いる「花斉会(かせいかい)」のメンバーであるため、党のトップとナンバー2を同じグループが独占する「歪(いびつ)さ」がある。

 さらに、旧民主党が「4年間は消費税を上げない」と言って09年に政権を獲得しながら、野田氏が首相時代に「消費税増税に命をかける」といって増税法案成立に邁進したことに、国民の中には「ダマされた」という思いが残っている。

 このためか、党内には、「清新さを訴えたのに、今までと変わらない雰囲気だ」(篠原孝元農水副大臣)、「蓮舫氏は人事センスがない」(ベテラン)、「国民から『ウソつきコンビ』と言われかねない」(中堅)という不満・批判が噴出している。

 代表選で蓮舫氏を支持した細野豪志元環境相は「党内が持たない」と再考を促したが、蓮舫氏は押し切った。結果的に、幹事長以外の人事は難航しており、挙党一致にはほど遠い船出となった。