東京・築地市場(中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)の建物の下に盛り土がなかった問題で、都のヒアリング対象となった市場を所管する都中央卸売市場の歴代市場長は、いずれも「地下空間の存在は知らなかった」と話していることが、都への取材で分かった。

 所管部署のトップが重大な方針変更を把握しないまま地下空間案が実行されたことになり、都の管理体制の不備が浮き彫りになっている。

 豊洲市場の土壌汚染対策を検討した専門家会議は2008年7月、建物の下も含めて敷地全体に4・5メートルの盛り土が必要だとする提言を出した。

 このため、都は建物の下に盛り土をしない現在の構造にすることが決まった時期を特定するため、08年以降に市場長を務めた5人から事情を聞いた。その結果、20日までに5人全員が「地下空間があることは認識していなかった」と答えたという。