「東九州新幹線」構想について、広瀬勝貞知事は20日、県独自の「整備推進期成会(仮称)」を立ち上げ、官民を挙げて構想実現に取り組むことを表明した。試算では地元として巨額の財政負担を見込むが、将来的な人口減少の影響を考慮しても一定の費用対効果が期待でき、県民世論の後押しも得られると判断した。 東九州新幹線は1973年に国が基本計画路線の一つに決定して以降、具体的な進展がない。建設には事業化の前提となる整備計画路線への格上げが必要で、県は期成会を中核に機運醸成を図り、国への要望活動を強化する方針。 整備効果や費用負担に関する調査結果によると、整備費は総額2兆6730億円。このうち県内区間は9千億円で、JRへの貸付料と国の負担を除いた県内自治体の負担を2663億円と試算した。人口減少が進んだ場合でも2060年に完成してから50年間の費用便益は「1・07」で、整備費用を上回る効果が期待できるとした。 広瀬知事は同日の定例会見で、県民向けの説明会を通して「やるべきじゃないかという声が大部分だった」との認識を示した。15年度までの行財政改革の成果として実質的な県債残高が約3千億円減ったことを挙げ、「2663億円は手が届かない途方もない額ではない」と説明した。 政府が経済対策として各地の整備新幹線の建設を加速させていることも踏まえ、「相当時間がかかる話だが、決断すべき時期に決断しておかねばならない。大分県の将来を担う子や孫のため、前に進めるべきだと判断した」と述べた。 県はこれまで福岡、宮崎、鹿児島の3県、北九州市とつくる建設促進期成会を中心に要望活動などを進めてきた。県期成会には市町村長や経済・観光団体の代表らが参加し、10月5日に設立総会を開く。 東九州新幹線を巡り、県内経済5団体と青年経済4団体が今月までにそれぞれ整備促進を求める要望書を県に提出していた。