PlayStation VR発売日の10月13日まであと1ヵ月。『東京ゲームショウ2016』では、PlayStation VRだけでなく、HTC Viveの新作タイトルも発表・展示され、まさにVR元年にふさわしい盛り上がりを見せました。
さてついに主要VR機器が出そろうタイミングになった今こそ、購入すべきVR機器を決めようという方は意外と多いのではないでしょうか? そこで今回はOculus Rift、HTC Vive、PlayStation VRを改めて比較してみましょう。
Oculus Rift
HTC Vive
PlayStation VR
主要VR機器比較
製品名 | Oculus Rift | HTC Vive | PlayStation VR |
価格 | 8万3800円(別途送料1万800円) | 10万7784円 | 標準版4万8578円、カメラ同梱版5万3978円 |
発売日 | 3月28日 | 4月5日 | 10月13日(予定) |
プラットフォーム | Oculus Home、Steam | Steam | PlayStation 4 |
動作マシン要件 | Windows PC(参考実売価格13万円から) | Windows PC(参考実売価格13万円から) | PlayStation 4(実売価格3万1000円から) |
ディスプレー方式 | OLED | OLED | OLED |
ディスプレー解像度 | 2160×1200ドット | 2160×1200ドット | 1920×1080ドット |
リフレッシュレート | 90Hz | 90Hz | 120Hz、90Hz |
視野角 | 約110度 | 約110度 | 約100度 |
ヘッドセット重量 | 実測約487グラム | 実測約579グラム | 約610グラム |
まず価格ですが、Oculus Riftが直販価格9万4600円(日本への送料含む)、HTC Viveが直販価格10万7784円、PlayStation VR(カメラ同梱版)が税込み希望小売価格5万3978円とかなりの差となります。
HTC Viveが最も高価ですが、部屋をプレイエリアとして自由に動き回るためのベースステーション、手の位置や角度をゲーム内に反映するハンドトラッキング対応のコントローラーが標準で同梱されていることを割り引いて考えなければなりません。Oculus RiftとPlayStation VRではハンドトラッキング対応のコントローラーは別売となります。
HTC Viveのハンドトラッキング対応コントローラーには、メニューボタン、トラックパッド、システムボタン、トリガーなどのほかに、握る操作をゲーム内に反映させるためのグリップボタンが設けられています。たとえば物をつかんで投げるような動作が可能で、ゲームパッドでのVRゲームプレイより段違いに没入感が深くなります。
VR機器購入の際に、もうひとつ考慮しておかなければならないのが、VRソフトウェアを動作させるためのマシンの準備です。Oculus RiftとHTC Viveは動作要件を満たすWindows PCが必要で、そのPCを完成品で購入すると実売価格13万円以上となります。PlayStation VRの場合も実売価格3万1000円前後のPlayStation 4が必要となります(9月12日調べ)。つまり仮に0からシステムを構築するためには、Oculus Riftは約22万4600円、HTC Viveは約23万7784円、PlayStation VRは約8万4978円かかります。
ここ数年で購入したデスクトップPCを所有しているのであれば、グラフィックボードだけを入手すれば済むかもしれません。CPU、メモリー、ビデオ出力、USB端子、OSなどのスペックをクリアーしていれば、実売価格4万5000円前後の「NVIDIA GeForce GTX 970」や実売価格5万3000円前後の「AMD Radeon R9 290」を搭載したグラフィックボードを購入するだけでOKです。しかし前述の通り、VR推奨PCが実売価格13万円前後で購入できることを考えると、CPU、マザーボード、メモリー、ストレージも含めて最新世代のパーツに置き換えてしまったほうが、長く使うことを考えれば結果的に安上がりかもしれません。
↑マウスコンピューターのVR環境構築入門モデル『DAIV-DGZ500M3-VR』。実売価格12万9384円。
つぎにディスプレーのスペックを見てみましょう。ディスプレーの方式はすべてOLEDですが、解像度はOculus RiftとHTC Viveが2160×1200ドットで、PlayStation VRのみ1920×1080ドットとなっています。しかし解像度が異なると言っても両目で横240ドットの差に過ぎません。まったく同じ画像を表示した状態で交互に見比べないかぎりは、その差はわからないレベルでしょう。
筆者はOculus Riftを購入後にPlayStation VRを体験しましたが、解像度の差を感じることはありませんでした。しかしリアルタイムレンダリングしている3D CGについては解像度の差は気になりませんが、全天球の実写映像を見比べた場合には、PlayStation VRはほかの2機種より少し粗く感じるかもしれません。
Oculus Rift、HTC Vive、PlayStation VRの○と×
最後にそれぞれのいいところ、悪いところをまとめてみましょう。Oculus Rift、HTC Viveは先行して発売されているだけにVRコンテンツがすでにある程度揃っています。いい意味で荒削りなゲームも許されるプラットフォームなので、アイデア勝負の安価なミニVRゲームも楽しめます。そして、Oculus Rift、HTC ViveはOculus Home、Steam以外から入手したVRコンテンツを動作させることも可能です。つまり、いわゆる「大人向け」のアダルトVRコンテンツもプレイ可能です。これは大きなポイントです。
デメリットは多くのVRコンテンツが日本語化されていないことです。体験型のVRコンテンツでは意外にプレイすれば身体で覚えられますが、チュートリアルがややこしい英語で説明されている場合は敷居が高いのは事実です。
ちなみに現在、SteamではHTC Vive対応ゲームのほうが約3:1と圧倒的に多いですが、ハンドトラッキング対応コントローラーの『Oculus Touch』が発売されれば、Oculus Riftに対応するゲームが一気に増えるでしょう。VRゲームメーカーがOculus Riftに対応しない理由はありません。
一方、PlayStation VR用には名だたる大手ゲームメーカーがリリースした大作VRコンテンツが数多く揃います。バンダイナムコエンターテインメント『サマーレッスン(仮)』、ユービーアイソフト『Eagle Flight』、スパイク・チュンソフト『サイバーダンガンロンパVR 学級裁判(デモ)』をプレイしたいのであれば、PlayStation VRを購入するしかありません。しかし言うまでもないですが、PlayStation VRでアダルトVRコンテンツが発売されることはまずないでしょうし、個人が制作しているようなカジュアルなVRコンテンツが配信されることも当面は考えられません。
冒頭で2016年はVR元年だと書きましたが、VR元年がまだVR黎明期であると考えれば、あくまでもゲームコンソールのメインストリームは非VRのゲームコンテンツであることには変わりありません。VRというテクノロジーに夢を見て、実験的なVRコンテンツ(アダルトVRを含む)を楽しみたいと考えているのであれば、PlayStation VRと合わせてOculus Rift、HTC Viveのいずれかを購入するべきと言えるでしょう。
『なないちゃんとあそぼ!』は、Oculus Rift、HTC Viveのいずれかでなければプレイできません(VR動画は、スマートフォンとVRゴーグルを組み合わせれば鑑賞可能です)。