ラホール=乗京真知
2016年9月20日09時26分
伝統楽器でジャズを奏でるパキスタンの楽団が世界の音楽ファンの支持を集めている。ほとばしる即興の妙味に加え、聴く者を引きつけるのは、音楽家を攻撃するイスラム過激派に屈しない姿だ。その奮闘を描くドキュメンタリー映画の上映が日本でも始まった。
2013年11月、米ニューヨーク。ジャズの殿堂「リンカーン・センター」に、白い民族衣装を身にまとった楽団「サッチャル・ジャズ・アンサンブル」が招き入れられた。曲目は名作「テイク・ファイブ」。静まりかえった劇場に、古典弦楽器「シタール」の幻想的な音色が響くと、歓声が沸き上がった。印象的な映画の一場面だ。
木や革を使った伝統楽器の調べは柔らか。指先や手のひらで拍子を刻む太鼓「タブラ」や、伸びやかな竹笛「バーンスリー」も生かした演奏風景は、この公演に先立つ11年に、動画サイトで100万アクセスを超えた。
原曲のピアノ奏者デイブ・ブルーベックは「他に類のない演奏」とたたえ、英BBCが「パキスタン流のひねりにジャズ界が熱狂」と報道。収録アルバムは音楽配信のiTunesで米・英・カナダのアルバムチャート1位を飾った。
楽団が生まれたのはパキスタン…
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