モスクワ=松尾一郎
2016年9月21日03時03分
リオデジャネイロのオリンピック、パラリンピックで浮上したロシアのドーピング問題。世界反ドーピング機関(WADA)の調査で「組織的」と認定された隠蔽(いんぺい)の歴史は、旧ソ連の時代にさかのぼる。ロシアの研究者らの証言や非公開の資料からたどった。
「我々(ロシア)にはドーピング技術がある。私が開発した。同時に、隠蔽する技術も必要なのに、我々は持っていない」
ロシア国立体育・スポーツ・青年・観光大学のセルゲイ・サルサニヤ教授(79)が断言した。
1960年代末、筋肉増強作用のある「アナボリック・ステロイド」(AS)によるドーピング手法を秘密裏に開発し、旧ソ連・ロシアのトップ選手育成に関わったスポーツ科学者だ。このほど、モスクワ市内の自宅で取材に応じた。
旧ソ連では、種目ごとの代表選手がスポーツ省直轄のトレーニングセンターに集められ、科学者がトレーニング方法から食事、薬の投与まで指導してきた。この過程で、研究者は多くのデータを得てきたという。
五輪でASを対象にしたドーピング検査が本格的に導入されたのは、76年のモントリオール五輪だった。
サルサニヤ氏は、この大会の重…
残り:1513文字/全文:1992文字
トップニュース
新着ニュース
おすすめ
おすすめコンテンツ
義足アスリート界に突如現れた新星
乙武洋匡さん「パラリンピックを無くしたい」。その意図は。
2歳で全盲。3度目のパラリンピックで頂点へ
車いすバスケからフェンシングへ。38歳が再出発。
日本が世界に誇る車いすテニス選手の素顔に迫る。
頂点を目指す両足義足のサイクリスト
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
(PR)くらべてお得!