政府 もんじゅ 廃炉含め抜本的な見直しの方針

政府 もんじゅ 廃炉含め抜本的な見直しの方針
政府は、安全管理上の問題が相次いだ高速増殖炉「もんじゅ」の今後の取り扱いを協議するため、21日、関係閣僚による会議を開くことにしています。会議では、「高速炉」の開発は継続する必要があるとしたうえで「もんじゅ」については、廃炉を含め、抜本的な見直しを行う方針を確認するものと見られます。
福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」をめぐっては、安全管理上の問題が相次いだことから、所管する文部科学省が、原子力規制委員会の勧告を踏まえ、ことし夏にも、日本原子力研究開発機構に代わる新たな運営主体を示すことになっていましたが、新たな運営主体は現在も決まっていません。
こうした状況を受けて、政府は、21日、総理大臣官邸で、菅官房長官、松野文部科学大臣、世耕経済産業大臣ら関係閣僚が出席して、「原子力関係閣僚会議」を開き、「もんじゅ」の取り扱いや今後の「高速炉」の開発などをめぐって、意見を交わすことになりました。会議では、核燃料サイクル政策を維持するため、燃料の有効利用や放射性廃棄物の減少につながる「高速炉」の開発を継続する必要があるとして、政府内に新たな会議を設置して、今後の「高速炉」の開発の方針を議論することを確認する見通しです。
そして、「もんじゅ」については、維持費が年間200億円程度かかっているほか、存続する場合、耐震補強などで数千億円規模の費用がさらにかかると見込まれる中、政府・与党内に存続に否定的な意見があることも踏まえ、廃炉を含め、抜本的な見直しを行う方針を確認するものと見られます。
政府は、「もんじゅ」の扱いや、「高速炉の開発の方針」などについて、年内にも結論を出したいとしていますが、文部科学省や「もんじゅ」がある福井県敦賀市などが存続を求めていることなども考慮して、慎重に議論を進める方針です。

これまでの経緯

高速増殖炉「もんじゅ」をめぐっては、文部科学省が存続を前提に新たな運営主体を検討してきましたが、運転の再開に多額の費用が見込まれることなどから、関係省庁や電力業界との調整は進んでいませんでした。
使った以上の燃料を生み出す夢の原子炉として平成6年に試験運転が始まった高速増殖炉「もんじゅ」は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再び燃料として利用する核燃料サイクルの柱の1つと位置づけられてきましたが、事故やトラブルのため、この22年間の運転実績は250日とほとんどありません。
4年前の平成24年からの国の検査ではおよそ1万件にのぼる機器の点検漏れが明らかになり、その後も安全管理上の問題が続いたため、去年、原子力規制委員会はいまの日本原子力研究開発機構に代わる新たな運営主体を示すか、それができない場合は、廃炉も含め、事業を抜本的に見直すよう異例の勧告を出しました。
勧告を受け、文部科学省は、外部の専門家でつくる検討会での議論を踏まえて、原子力機構からもんじゅの運転部門を切り離し、電力会社やメーカーから協力を得たうえで、運営管理を担う特別会社を新たな運営主体とする案を軸に関係省庁などと協議を進めてきました。
しかし電力業界からは「技術的な知見がないうえに一般の原発の再稼働の対応で余裕がない」などとして、運営主体を担うのは難しいという見方を繰り返し示されています。
さらにもんじゅの運転再開には年間200億円の維持費に加え、新しい規制基準に対応する対策に多額の費用がかかることなどから経済産業省などには国民の理解が得られるか疑問視する声があり、調整は進んでいませんでした。
その一方で、政府内では、もんじゅについて廃炉も含めた抜本的な見直しをする場合でも核燃料サイクルを維持する必要があり、プルトニウムの有効利用や放射性廃棄物の減少につながる新たな高速炉の開発を進める意見が出されていました。