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(朝鮮日報日本語版) 【社説】鉄鋼業の構造調整にも及び腰の韓国政府

朝鮮日報日本語版 9月19日(月)9時13分配信

 韓国の鉄鋼産業の構造調整案を検討しているボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が「韓国の厚板工場7カ所のうち3か所を閉鎖すべき」という内容のリポートを公表した。厚板は船舶や海洋プラントの製造に使われ、韓国の鉄鋼生産量の17%を占める。BCGはリポートで「2020年には韓国の造船各社の受注量が15年に比べ54%減少する」との見通しを示した上で「韓国鉄鋼業界は現在1200万トン規模の厚板生産能力があるが、このうち400万-500万トンを削減しなければならない」と指摘した。売り上げは数兆ウォン(数千億円)規模で減少するが、鉄鋼業界の共倒れを防ぐためには避けられないというわけだ。

 このリポートは、業界の利益団体である韓国鉄鋼協会が4か月前に依頼して作成されたものだ。韓国政府はリポートに基づいて基本的な方向性を決め、今月末までに鉄鋼業の構造調整支援案を策定するという。中国など新興国による鉄鋼製品の過剰生産の影響で、韓国の鉄鋼業界では迅速な構造調整が必要と叫ばれて3年が過ぎた。このままでは1-2年後には多数の鉄鋼企業で仕事がなくなるという危機が押し寄せるだろう。それにもかかわらず政府は依然として「構造調整は民間が自力で進めるのが原則」と消極的な姿勢を変えずにいる。造船業と海運業の深刻な不振によって構造調整問題が浮き彫りにならなければ、このような民間のリポートすら作成されなかっただろう。

 民間による自力での構造調整ではすでに問題が浮上している。政府と産業銀行は大宇造船海洋に対し、7兆ウォン(約6300億円)もの大金をつぎ込み企業に自主再建計画を出させたが、依然として企業の再建は断言できない状況だ。同様に政府が自主再建計画を出させた韓進海運は結局、法定管理(会社更生法適用に相当)申請に追い込まれ、3週間も世界的な物流混乱を引き起こしている上、40年にわたり努力を重ねてきた韓国海運産業が崩壊する危機に直面している。

 企業の構造調整は市場原理に従うべきであり、政府は介入しないのが原則だ。しかし、独寡占や過当競争によって市場の自浄機能がうまく働かない場合や、産業再編の影響が経済全体に及ぶような場合は、当然政府が率先して調整機能を発揮しなければならない。造船・海運・鉄鋼のような主力産業の再編が正にそのケースだ。厚板工場の閉鎖を促すBCGのリポートに対し、早くも鉄鋼企業各社は強く反発していると聞く。すでに造船・海運の構造調整で無能ぶりと無責任さを露呈した韓国政府だが、今回は同じ失敗を繰り返さないことを願うばかりだ。

最終更新:9月19日(月)9時13分

朝鮮日報日本語版

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TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。

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