浮島丸事件から71年、記憶つなげて 京都・舞鶴で講演
終戦後間もなく、朝鮮半島に帰る労働者らを乗せ舞鶴湾で爆沈した「浮島丸事件」から今年で71年となり、京都府舞鶴市南田辺の西総合会館で19日、講演会「歴史に向き合わない日本人 浮島丸事件を記憶し続ける意味」が開かれた。
長年、事件があった8月24日に追悼集会を続ける「浮島丸殉難者を追悼する会」が、身近な場所で起きた日本の近代史を市民で共有し、これからの日本について考えたいと企画した。約60人が来場し、奈良女子大の中塚明名誉教授=日清戦争史=が講師を務めた。
中塚教授は、明治時代に急速に世界の列強の仲間入りを果たした日本が、日清戦争開戦から第2次大戦の終戦までの約50年間で敗戦したのは、国が戦時の出来事を都合のいい情報に替えて国民に伝えていた背景があったからと指摘した。「現在も歴史を知らない日本人が多い。浮島丸事件も市民が記憶し、輪を広げなければならない」と訴えた。
来場した舞鶴市行永の矢野武さん(86)は「歴史を見抜く目を持ち、昭和の歴史をもっと語り継いでいきたい」と話した。
【 2016年09月20日 11時28分 】