macOS Sierraへアップグレードする前に確認しておきたい機能や、注意点をまとめました。詳細は以下から。
日本時間2016年9月21日にリリースされるmacOS 10.12 Sierraでは様々な新機能や利便性・パフォーマンスの向上が行われていますが、そのアップグレードに伴いいくつかの機能が廃止され、新機能が原因の不具合が発生しているようなので、それぞれ注意点をまとめました。
システム要件
AppleはmacOS 10.12 SierraでアップグレードできるMacのハードウェア条件をEl Capitan時のハードウェア条件から引き上げ、Late 2009以降のiMacおよびMacBook, Mid 2010以降のその他のMacがアップグレードできるようになっていますが、
OS X 10.11 El Capitan |
macOS 10.12 Siera |
|
---|---|---|
MacBook | Late 2008アルミニウム製 またはEarly 2009以降 |
Late 2009以降 |
MacBook Air | Late 2008以降 | Mid 2010以降 |
MacBook Pro | Mid/Late 2007以降 | Late 2010以降 |
iMac | Mid 2007以降 | Late 2009以降 |
Mac mini | Early 2009以降 | Mid 2010以降 |
Mac Pro | Early 2008以降 | Mid 2010以降 |
これに加えてOSのシステム要件もEl CapitanのOS X v10.16.8 Snow Leopard以降から「OS X v10.7.5 Lion以降」へと引き上げられているため、古いMacBook Late 2009をSnow Leopardで利用している方はLionへのアップグレードを事前に行う必要があります。
- macOS – アップグレード方法 – Apple(日本)
新機能が利用できない
SierraではContinuity機能の一部としてiOS 10デバイスとクリップボードを共有できるユニバーサルクリップボードやAppleWatchによるMacの自動ロック解除機能が加わりますが、これらの機能はそれぞれ別々のシステム要件があるため、以下の条件を満たしていなければSierraへアップグレードても新機能は利用できません。
macOS 10.12 Sieraサポート |
ユニバーサル クリップボード |
AppleWatchによる 自動ロック解除 |
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---|---|---|---|
MacBook | Late 2009以降 | Early 2015以降 | 2013以降 |
MacBook Air | Mid 2010以降 | 2012以降 | |
MacBook Pro | Late 2010以降 | 2012以降 | |
iMac | Late 2009以降 | 2012以降 | |
Mac mini | Mid 2010以降 | 2012以降 | |
Mac Pro | Mid 2010以降 | 2013以降 |
ネットワーク
既にリリースされたiOS 10でも非サポートとなったPPTPプロトコルによるVPN接続がSierraでも非サポートとなるため、一部のプロバイダーや学校や企業などでアップグレード後に支障が出る恐れがあります。
Gatekeeper
AppleはWWDC 2016のセッション706”What’s New in Security”でmacOS/iOSのセキュリティ機能をアップデートすると発表し、その中の1つにmacOSのGatekeeperが含まれていますが、このアップデートにより以下の仕様変更が行われます。
Sierraで変更される機能はシステム環境設定の[セキュリティとプライバシー]設定で、Sierraでは「すべてのアプリケーションを許可」オプションが削除され、署名がされていないアプリ(いわゆる野良アプリ)が開けない状態になります。
Appleは今回のアップグレードで非署名のアプリを完全には締め出さない方針を示しているので、ユーザーがシステム管理者の場合、以下のコマンドでこのオプションを再度有効にすることが出来ますが、1台のMacを家族などで共用している場合には注意して下さい。
sudo spctl --master-disable
Java
Appleは昨年、OS X 10.11 El Capitanをリリースする際に「OS X 10.11 El CapitanをOracleが2013年にサポートを打ち切ったJava 6のサポートする最後のOS Xとする」と発表し、Oracleも開発者に注意を促していますが、
Mac OS XおよびApple Java 6のサービスの終了
Appleは、Mac OS X 10.11(El Capitan)はJava 6をサポートする最後のOS Xリリースになる予定であり、したがって、Java 6に依存するアプリケーションの開発者には、Oracleが提供する新しいJavaバージョンにアプリケーションを移行することを推奨するという通知を発表しました。 »詳細(apple.com)
現在でも古いAdobe CSシリーズやEclipse、Flash BuilderなどがJavaのランタイムを必要としており、Adobeは昨日CS6シリーズがSierraに対応しておらず、必要システム構成外なると発表したため、ユーザーの方は周囲の動作報告を確認してからアップグレードする事をお勧めします。
HFSがサポートを終了
1985年に公開されたMac OS標準フォーマット「HFS」がSierraでサポートを終了します。これに伴いSierraではHFSの読込み機能も利用できなくなります。
QuickTime APIが削除
”OS X v10.12 API Diffs”によるとAppleはSierraでQuickTime APIを廃止するため同APIを利用したアプリなどが利用できなくなると思われます。
Rootless
AppleはOS X 10.11 El Capitanでシステム整合性保護機能(通称”Rootless”)を導入し、rootユーザーでも”/bin”や”/usr”などシステム保護管理下にあるディレクトリを操作できなくしていますが、これに伴いシステム保護ディレクトリにある非Apple製のファイルやコマンドが強制的に移動させられる仕組みがEl Capitanに組み込まれています。
これはSierraでも同様のため、Yosemite以下のOSからSierraへアップグレードを行うユーザーはHomebrewなどパッケージやバイナリの取扱に注意してください。
- HomebrewはEl Capitanへアップグレードする前に入れておく – Qiita
- OS X 10.11 El Capitan: The Ars Technica Review – Ars Technica
iCloud
SierraおよびiOS 10ではContinuityの機能が強化され、iCloud Drive経由で「デスクトップ」および「書類」フォルダ内のファイルを同期できるようになりますが、アップグレード途中にこの機能を利用するかの案内が表示されます。
この機能を理解せずONにしてしまうと、デスクトップに散らばったファイルや書類フォルダ内に保存されている仮想マシンなどの巨大なファイルがiCloud上へアップデートされてしまうので、この機能はデスクトップや書類フォルダを整理してから利用する事をお勧めします。
アプリの対応
WWDC 2016でmacOS SierraのBeta版が公開されて以来、多くのアプリがSierraに対応したアップデートを提供していますが、現在もまだキーボードカスタマイズツール「Karabiner」やセキュリティアプリ「ESET」、PFUのScanSnap、KORG製品などが動作確認が取れていない、
◆重要なお知らせ◆
macOS Sierraでの動作検証において重要な問題が検出されております。下記より詳細をご確認いただけますよう、お願い申し上げます。https://t.co/9Yq4gTExaY
ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。#scansnap— PFUダイレクトショップ (@PFU_Direct) 2016年9月15日
【お知らせ】1週間後にリリースが予定されているmacOS Sierraへの弊社製品の対応状況ですが、現在、動作検証中です。ご迷惑をおかけしますが、動作確認済みのご案内まで、今しばらくお待ちください。https://t.co/m4xLwmT3bV #korg
— KORG (@korg_inc) 2016年9月14日
または不具合があるとしてアップグレードを控えるように通知しているので、仕事なので必要なアプリや機材がある方は公式サイトおよびRoaringAppsなどのWebサイトで情報を集めてみてください。
この他にも毎年問題になっているプリンタードライバーの対応状況などがまだ出ていないため、Sierraへアップグレードする方は必ずTime Machineでバックアップを取ってからアップグレードを行うことをお勧めします。