沖縄県南城市のサキタリ洞遺跡で、世界最古となる約2万3千年前(後期旧石器時代)の釣り針が出土し、県立博物館・美術館(那覇市)が20日までに発表した。巻き貝製で、旧石器時代の漁労具は国内でも初の発見となり、同館は「陸上での狩猟が中心と考えられていた旧石器時代の新たな一面がうかがえる貴重な資料だ」としている。
釣り針の大きさは1.4センチで、巻き貝の底を割って三日月形にし、磨いて先端が徐々に細くなるようにとがらせていた。同じ地層からは研磨用とみられる砂岩の小片も出土した。
2012年の発掘調査で発見され、地層に含まれる複数の炭を放射性炭素年代測定で分析し年代を特定した。ほかに2万3千~1万3千年前の未完成の釣り針も見つかった。遺跡からは3万年前の幼児の骨や3万5千年前の焼けたシカの骨も見つかっており、この頃から旧石器人が生活していたようだ。
これまでは東ティモールのジェリマライ遺跡の貝製の釣り針が世界最古とされてきたが、年代は2万3千~1万6千年前と幅があり特定できていなかった。国内では神奈川県横須賀市の夏島貝塚で出土した1万~9千年前(縄文時代)の釣り針が最古とされていた。
同館の山崎真治主任は「旧石器時代は生活の様子が詳しく分かっていない。今回の発見で魚類も食料としていたことが裏付けられる」としている。
釣り針などは同館で11月15日から開かれる特別展で公開される。〔共同〕