みなさま、初めまして!「アイドルマスター SideM」スタッフです。
おかげさまで「アイドルマスター SideM」は、2016年7月17日に2周年を無事迎えることができました。ありがとうございます!
ブログ記事を書かせていただく機会を頂戴しましたので、今日は「アイドルマスター SideM」の「オーディション」について書かせていただこうと思います。
◆「今始まるストーリー」
「医者!フリーター!自衛官! 理由あってアイドル!」というコピーを身にまとい、「アイドルマスター SideM」(以下「SideM」)は登場しました。
コピーのまんまですが、SideMに登場するアイドルたちは「アイドルになるために生まれてきました!!」という感じではなく、前職で頑張っていた男の子たちが何かしらの理由(決意)があってトップアイドルを目指しはじめるところから物語が始まります。
その職業の一部をご紹介しますと、元外科医・元コンビニアルバイト・元自衛官・元教師・元歌舞伎役者など多岐に渡っており、「え?なぜアイドルに?」という疑問を持たずにはいられない子が多くいます。中には、そのまま前職を続けていた方が近道なのでは?と思わずにはいられない子もいます。
そんな彼らが、自分の夢を叶えるという強い意志を持って、トップアイドルになることを目指し、プレイヤーであるプロデューサーのいる新設の事務所“315プロダクション”からデビューを果たします。
前職でも頑張っていたであろう彼らが、熱い気持ちを抱きしめて、自分の人生を切り替えて0から走り出します。そんな彼らの「今始まるストーリー」がSideMのアイドルたちならではの魅力であると思っています。
◆「限りない未来という舞台へ」
「アイドルマスター SideM」に登場するアイドルたちは、今でこそほとんどのアイドルがゲーム内で声を発し、現実世界でCDを出していますが、最初は誰も声を発していませんでした。
2014年リリース当時、世に出ているソーシャルゲームの多くは、登場人物に声が最初からついているものがほとんどでしたので、SideMを無音でサービス開始することは多少の勇気が必要でした。
そんな状況を理解しながら、あえて声がない状態で始めた理由は、SideMではプレイヤー(以下プロデューサー)であるプロデューサーの皆さんに、アイドルたちを育てていただくだけではなく、315プロダクションやSideMそのものを一緒にステップアップへと導いていただくことを目指しているためでした。
2015年から声がつきはじめ、1人1人に声がつくたび、SideMの成長をプロデューサーさんたちが一緒になって喜び、自分たちのお仕事の成果だと実感し、アイドルの成長を日々楽しんでいただき、それにより、コンテンツが育っていくことを喜んでいただいている様子を感じています。
昨今ほとんどのゲームにおいて声がついており、有名な演者が演じているタイトルを目にすることが多くあります。
そんな時流の中、どちらかと言うと若手寄りの演者から「オーディションをして声のキャストを決める」という点が、SideMならではの、少しだけ独特な点かと思いますので、この機会に「オーディションを行って演者さんを選ぶことがどう良いのか?」について、掘り下げてお話しさせていただきたいと思います。
「オーディション」の大まかな流れは、
(1)事前準備として、オーディション前日にサンプルボイスを聞いて、当日追加トライしていただくアイドルの見当をつけておく
(2)演者に台詞演技(6台詞)と課題曲の歌唱、自己PRをしていただく
(3)全てのオーディション終了後、スタッフでミーティングをして決定する
の3工程です。
手順として書くと「たったの3工程」になりますが、具体的には、数日間にわたって 1日30~50人のオーディションを行いますので結構な量感があります。
一度に最大、約400人の演者がエントリーしてくださったこともありました。本当にありがたい気持ちでいっぱいです。
このオーディションの中で、一番の”肝”として時間をかけているのが、(2)の工程です。
基本的には、声質・演技・歌唱・個性という観点で見ていますが、「演技」においては、オーディションを受けていただくお1人お1人に対して、その場でフィードバックをして、演技のトライ&エラーをしていただきます。
たとえば、台詞にこもっているアイドルの個性や感情・バックボーンなどを説明した上で、演技の調整をしていただいたりもします。演技していただくアイドルは1人だけに絞らず、まずは演者が希望するアイドルでトライ&エラーしていただき、その時の声質や、前日に聞いてチェックしていたサンプルボイスの声質から、合いそうないくつかのアイドルをトライしていただくようお願いしています。
SideMは「最初に声をつけない」という選択をしたがゆえに、声がつく頃には「既にプロデューサーのみなさんの中で生きているアイドルたちが存在している」という状態になります。
そのため、アイドルたちから発せられる声は、「そのアイドルが発する声として素直に受け入れられる声」である必要があり、それにくわえて加えて「アイドルとして魅力的」という、輝きを感じられる声にしたいという気持ちもあります。
オーディション中は、演者の声や演技を聞きながら、該当アイドルを想像し、「動くか?話すか?生き生きとしているか?」を脳内のアイドルと、実際に聞こえてくる声の照合を繰り返し行います。
選考の第1歩として「声質」があります。ぱっと聞いて、比較的スムーズに答えが出てきます。良かった場合は、ニュアンス調整にトライしていただきます。
逆に、思っている感じと違った場合は、サンプルボイスや当日のボイスを聞いた感触から、他アイドルの声へのトライを提案させていただきます。そこではまった場合は、台詞のニュアンス調整にトライしていきます。
2歩目に「演技」です。ニュアンス調整をトライします。演技における「調整弁の広さ」を見ることに加え「演じているアイドル固有の“らしさ”」がより際立ってくるか?という点を見ています。
意図して経験値が若い演者さんに来ていただいているので、調整弁よりは「アイドル固有の“らしさ”」の方を重視しています。「クールで冷たく、トップアイドルを目指すのに、他人など不要だと考えている性分だが、裏ではストイックで完璧を目指す努力家」や「自分の力でやってやる!と決意を持って家を飛び出したが、ダメな感じで今一つ輝ききれない青年」「何日も水だけで生きていられる、無気力な年齢不詳人物」などという「人間性」を感じられるかの調整をトライしていきます。
トライしていただいている最中に、演者の「呼吸」や「間」など、その人そのものが元々持っている人間性が垣間見えてくるので、その人間性の部分が、アイドルの個性と強いリンクを感じ、唯一の声への実感となり、脳内でのみ再生されていた彼らの声が現実から聞こえ、アイドルたちに出会える瞬間になります。何度オーディションを行っても、その出会いの衝撃というのは、感動の域に達する瞬間です。
3歩目は「歌唱」です。アイドルである彼らはSideMの世界の中で歌います。その歌は現実世界でCDとなり、彼らはライブに出演し歌ってダンスを披露します。
そのため、SideMのオーディションでは、「課題曲を歌う」というメニューも含んでいます。
歌唱のオーディションでありながら、「上手なのが正解」ではない点が面白いところです。「そのアイドルが歌を歌っている」姿が脳内で再生されるか、そのアイドルらしく輝いているかを見ていきます。
不思議なことに、声質・演技・歌唱の3点でアイドルの個性とマッチングしている演者は、どこかアイドルの個性に似た要素を持っている方が多いように思います。
元々の人間性や姿勢が似ているからこそ、アイドルたちとも重なるのだなと、怒涛のオーディションを超えて実感したことです。アイドルと、演者の素直なマッチングが起きるので、演じる際にも自信を持って発声することができているように感じます。
最後に、「オーディションを行って演者さんを選ぶことで、どういった良い影響を生み出すのか?」ですが、オーディションを行って声をつけることで、想い描いている個性が現実の声を使って感情表現を行い、お客様が大切にしている人物が生き生きと呼吸をする様子を描くことができました。
その結果が、さらにはお客様にとって大切な人物がリアルに存在している体験へと繋がり、「キャラクター」とよばれる紙の上の絵ではなく、「個性を持った人物」として受け入れていただくことへと繋がります。アイドルを「個性を持った人物」として受け入れていただくことは「友人や家族、同僚など身近にいる大切な人」と同じような近い存在として感じていただけることに繋がり、より強い想い入れを持っていただける存在へとなっていくのではないでしょうか。
もし、企画者の皆さんが、お客様に「個性を持った登場人物に対して、深く想い入れを持ってほしい」という企画を検討されている場合には、ぜひ、「声をつける時にオーディションを行う」という選択をとってみてはいかがでしょうか。
きっと、より一層個性が魅力的に、豊かに表現され、お客様にとっての唯一の存在へと繋がっていくことと思います。
最後になりますが、「アイドルマスター SideM」のオーディションに、深くご協力いただいております「(株)ランティス」様、「(株)マジックカプセル」様に、この場をお借りして深く深く感謝の気持ちをお伝えさせていただきます。
◆「ずっとずっとその先へ」
2年前、さいたまスーパーアリーナで開催された「アイドルマスター」のライブ「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2014」 の休憩時間に、SideMは初出をさせていただきました。
2年経った今でも、とてもよく覚えています。初めてSideMをお披露目した日の、プロデューサーさんたちの声を。
Jupiterというアイドルを、心から応援してくださっているあたたかさを感じ、心強くなり、同時に「彼らがきちんと輝ける場所を整えていけるだろうか?新しくSideMで誕生したアイドルたちのことも応援してもらえるだろうか?」という不安を持った気持ちも、この先きっと忘れないでしょう。
これからも、「アイドルマスター SideM」の男性アイドルたちや、プロデューサーの皆様と共に、一歩一歩「ずっとずっとその先へ」10年先まで頑張っていきたいと思います!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!