8月26日に公開された新海誠監督(43)の新作「君の名は。」が、9月11日時点で興行収入約62億8000万円、観客動員数は約480万人と大ヒットを記録している。夢の中で入れ替わり、ひかれ合う男女を描いた作品で、これまでの新海作品とは作風が大きく違う青春ファンタジー大作だ。新海監督に製作の背景を聞いた。
《1000年ぶりの彗星来訪まであと1カ月。地方に暮らす女子高生、三葉(みつは、声・上白石萌音)は、ある夜、東京の男子高校生になった夢を見る。一方、東京に住む瀧(たき、声・神木隆之介)も地方の女子高生になった夢を見た。やがて2人は、自分たちが実際に入れ替わっていることに気づく……》
シンプルなエンターテインメントが作りたかったんです。僕のテーマは、思春期の人やその頃の気持ちを引きずっている人たちのコミュニケーションの問題。そこは動かせないけれど、文句なく楽しいものを目指しました。107分の上映時間の中で、1分たりとも退屈させない、サービスし尽くす映画にしたかった。
《上白石と神木は、1つの役について内面が男性・女性の場合を演じ分ける演技を要求された》
2人とも素晴らしかった。上白石さんは、オーディションですぐ決めました。彼女が三葉というキャラクターの“輪郭”を教えてくれた。
瀧役は難しく、男が女言葉でしゃべるとコミカルになってしまうけど、この作品では、入れ替わった状態で、シリアスな演技が求められる。そこで中性的なイメージのある神木さんに決まりました。彼は三葉としての柔らかなしゃべり方と、瀧に戻ったときの武骨な感じの切り替えが実に自然だった。
《繊細な感情表現と美しい風景描写で知られた新海監督だが、2011年に地下世界での冒険を描いた「星を追う子ども」を発表。作風の転換を図ったが、世間からの評価は厳しいものだった》
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