6日朝から横浜市の横浜ロイヤルパークホテルで指されていた第64期将棋王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負の第1局は午後7時58分、95手までで、先手の羽生善治王座(45、王位・棋聖)が挑戦者の糸谷哲郎八段(27)を破り、タイトル防衛に向け幸先の良いスタートを切った。持ち時間各5時間のうち、残りは羽生王座49分、糸谷八段45分。
第2局は20日、京都市のウェスティン都ホテル京都で指される。
後手の糸谷八段が得意の一手損角換わり戦法を採用した本局、羽生王座は棒銀で対抗する形に進んだ。24手目後手6五歩が実戦例のない手で、力戦模様に。その後、押さえ込みを狙う後手に先手が31手目先手6六歩から反発する形になった。
模様が悪くなった羽生王座が放った45手目先手2六角が「銀損覚悟の勝負手」(解説の中村太地六段)で後手は銀得となる。だが、この後、後手に局面をよくする手が思いの外なく、先手の羽生王座が細い攻めをつなぎ、後手の歩切れをつく巧みな指し回しをみせた。
糸谷八段の焦りも誘い、54手目後手6五銀が「疑問手」(中村六段)で、形勢は大きく先手に傾く。夜戦に入ると、そのまま羽生王座が寄せ合いを制して先勝した。