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【大相撲】

遠藤、復活6連勝 勢を速攻寄り倒し

2016年9月19日 紙面から

寄り倒しで勢を土俵下まで吹っ飛ばし、7勝目を挙げた遠藤(右)=両国国技館で(大泉謙也撮影)

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◇大相撲秋場所<8日目>

 (18日・両国国技館)

 東前頭14枚目の遠藤(25)=追手風=が、過去6戦全敗と分が悪かった勢を破り、6連勝で1敗を守った。3勝12敗と大きく負け越した先場所とは一転、優勝争いに堂々食らいついている。大関豪栄道は嘉風を寄り切り、8戦全勝で勝ち越してかど番を脱出し、単独首位をキープ。横綱日馬富士は千代鳳を上手投げで退け1敗を守り、綱とりの大関稀勢の里、かど番の大関琴奨菊は2敗を守った。

 足をゆっくり、高々と上げる自慢の四股に、遠藤の復調の実感がこもっていた。人気者同士の一番を制して6連勝。中日を終えて7勝は、自己最多とあって「思うような相撲が取れるのは、けがが良くなったことに尽きる」と振り返る口ぶりも明るい。

 低い立ち合いから勢を土俵際に追い込むと、小手投げを足首に不安のあった右足で踏ん張って耐え、前みつを取って突進。相手が土俵下まで吹っ飛ぶ寄り倒しで、速攻の完勝劇を締めた。

 右足首に加えて、昨年春場所に靱帯(じんたい)を損傷してから思うままにならなかった左膝の不安が、ようやく消えつつある。巡業や場所中も外出は控えて「私生活すべて」を治療に充ててきた。

 回復の物差しになったのは、小学生の頃から1日200回を自らに課してきた四股。故障が癒えて「できなかったことが、できるようになった」。柔軟な取り口の土台となる所作の美しさを取り戻したことが、何よりの手応えにつながった。

 自身の奮闘が、故郷の石川県穴水町の相撲の歴史を約半世紀ぶりに動かしたことも、大きな励みになっている。

 生まれ育った海沿いの中居地区で8月上旬、能登3大相撲の1つとされる「六所山相撲」が復活。1968(昭和43)年に途絶えた400年近い伝統のある土俵を、地元住民が中心になって神社境内に再興した。

 土俵開きは、所属する追手風部屋の穴水合宿に合わせて企画。真新しい土俵で稽古も行われたが、遠藤は夏巡業と重なって“凱旋(がいせん)”かなわず。町民たちが土俵入りを熱望していただけに、遠藤は「なかなか帰れないけど、チャンスがあれば」と意欲を見せる。

 取組後、優勝争いが話題になると「それを聞いたら笑っちゃう。まったく考えてない」と無心を強調したが、コンディションは「100%かと言われれば、そうじゃない」。故郷の相撲熱も力に、充実の秋の主役に躍り出る。 (志村拓)

 

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