「自己決定」の光と闇 4ヶ月で大学を中退し起業をめざす 石田祐希さんインタビュー

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4ヶ月で大学を中退し起業します。レールに沿ったつまらない人生はもう嫌だ。

という記事が話題になっています。

「大学を中退し起業!」「ブログカレッジ出身者!」「顔・本名出しブログ!」「社畜批判!」

ということで、早くもインターネットでは話題騒然。
かのPCデポ騒動を彷彿とさせるお祭りカーニバル状態となっています。

関連記事が次々と出る中、メンヘラ.jpではブログの著者 石田祐希さんにインタビューを決行。

今回のバズへの想い、大学を中退し起業を決意した現在の心境、今後の展望などについて語っていただきました。

以下
左:わかり手=メンヘラ.jp編集長、わかり手
右:石田さん=起業家?でブログ「いしだの話」主催、石田祐希さん

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めちゃくちゃバズって、どうでした?

わかり手
ブログなどでバズるのは始めてですか?

石田さん
ここまでの規模は初ですね。

わかり手
おぉ~。では初の超バズ。おめでとうございます…でいいのかな。
バズってうれしいとか、そういうのはありましたか

石田さん
いやぁ…(苦笑)
まぁ、目立って気持ちいいっちゃ気持ちいんですけど、別に目立つことが大好きってわけでもないので。
嬉しいかって言われると…うーん…まぁ、微妙なところですね(苦笑)

わかり手
はてなブックマークのコメントや、twitterでの反応などは見てらっしゃるんですか?

石田さん
はい、全てではないですけど、一通りは目を通しています。

わかり手
すると、批判的なコメントも目についたと思うのですが…

石田さん
そうですね。批判8 応援2 くらいの割合かなと思います。

わかり手
はてなブックマークは、ほとんどが批判的なコメントでしたね(苦笑)
特に「人気コメント」の10件は全て批判か揶揄のようでした。中には

「いいと思います。頑張ってほしい」

といった。kensuuさんからのコメントもありましたが。

石田さん
はい(笑)
はてなのみなさんは厳しかったですね。人気コメントは特に

わかり手
ちょっと読み上げてみましょうか(笑) 1番人気のコメント

「40年前ならヒッピー、30年前なら新興宗教、20年前ならマルチ商法、10年前ならバックパッカーやってたような層が2016年にやるのがブログで起業なんだろな」
confusion8 さん)

石田さん
まだ18年しか生きてないんで、そんな昔のことは知らないです(笑)

わかり手
おっ返しますね。では続いて2番人気

「別のレールに乗っちゃった感があるw」
a-kawaguchi さん)

石田さん
うーん、僕の前にレールは敷かれてないと思いますね。

わかり手
では3番人気!

「おい。本当に自分の頭で考えた結果なんだよな?世間に流されない人生というお題目はご立派だが、その中退・起業という選択も「ブロガー仲間の作ったレール」なんかじゃあないと誓って言えるのか?」
fuguriguchi さん)

石田さん
誓って言えますよ(笑)

わかり手
おぉ~!誓って言えますか!?

石田さん
はい、普通に誓って言えますね(笑)

わかり手
すごい(笑)
じゃあ、せっかくなんで、全部の人気コメントに反応してもらっても良いですか?
たぶん喜びますよ、はてなの人たち。

石田さん
いいですよ~

わかり手
ありがとうございます!では4番人気

「8月30日の記事→「やぎログ 」の八木仁平さんと「未来は変えられるの?」の宮森はやとさんが運営しているオンラインサロン「ブログカレッジ」の合宿に行ってきました!」
wrss さん)

石田さん
行ってきましたが…。
これはどういう…?

わかり手
あー、たぶん
「こいつはブログカレッジ関係者だぞー!」
という揶揄なんだと思います。八木さんのブログカレッジ、アンチが多いので。

石田さん
なるほど(笑)

わかり手
では5番人気!

「 レールにも乗れてないのに… 大学4年間通いながら、人脈を作ればよいのに。「学生」という身分は多くのことをもたらしてくれる。」
tsukimine さん)

石田さん
いや、大学に通わなくても人脈は作れますよね?
大学にいる4年間が無駄だと僕は思います。

わかり手
「学生という身分は多くのことをもたらしてくれる」
とありますが、この部分に関しては?

石田さん
学割くらいですね

わかり手
(笑) では次いきましょう。6番人気

「『おかしなセミナーにハマった息子が起業するとか言って大学を辞めてしまいました』 そろそろ被害者の会が結成されそうな予感(ワクワク)」
ysc711 さん)

石田さん
被害者の会…被害者って誰だろう

わかり手
うーん、たぶん、この人の言いたいことは、八木さんのブログカレッジに影響されて大学を中退してしまった石田さんが「被害者」ってことなんだと思いますよ。

石田さん
なるほど(苦笑)
いや、コメントしづらいですね…。うーん、とりあえず『がんばります』で(笑)

わかり手
(笑) 次行きましょうか。7番人気

「意識高い系ブログ、ドヤ顔写真、中退、起業。 意識以外の全て低い典型的なバカが歩むレールに乗ってる。でも頑張れ応援してるぞ!」
tuchinoko999 さん)

石田さん
えーっと…ありがとうございます(苦笑)

わかり手
そうとしか答えられないですよね(笑)
では8番人気

「おいおい。楽な方に楽な方に流されてるだけじゃん。挑戦でも何でもない。ただの逃避だ。あと書いてる事が全てポエムでしかない事に気付いてるんだろうか。」
dogear1988 さん)

石田さん
ただの逃避だ…と言われても。いや、チャレンジしてるんで。
ポエムって言われてもなぁ…。

わかり手
うーん。いやぁ…本当にどれも批判的ですね。
まぁただ、基本的に森羅万象全てに対し辛辣で批判的なコメント出すのがはてな民の基本スタンスなんで、そんな気にしなくていいとは思いますよ。この人たち褒める時は無言なんで。たまに上がるコスプレイヤーの画像詰め合わせとか、めちゃくちゃブックマーク付きますけどコメントほぼゼロですもん。
(参考リンク:可愛いコスプレ画像貼ってけ のブックマーク

石田さん
なんでそんなことまで知ってるんですか(笑)

わかり手
僕も無言でブクマしてるからです!では9番人気

「起業することが目的になっているように見えて不安。起業は何かを実現するための1つの手段。何を実現したいのか、そこに情熱があるのか、次はその辺の話が聞きたいなと思いました。」
ryu39 さん)

石田さん
ちゃんと実現したいビジョンも情熱もあるんで、ご安心ください。

わかり手
(笑) では最後!10番人気!

「すばらしい行動力。無責任に応援してます!」
kei-lmnop さん)

石田さん
ありがとうございます(苦笑)

わかり手
…というわけで、「人気コメント」への返答、以上で終わります。
お疲れ様でした。いや、軽快に斬っていきますね。普通はこんだけ叩かれたらへこみますよ。そういう意味で言うと、ブロガーというか、メディア人としての適性はあるのかもしれないですね。ちょっとホッとしました。
ブックマークコメント以外でも、ブログ記事として反応を寄こしていた方も多くいましたが、何か印象に残ったブログなどはありますか?

石田さん
うーん、そうですね、例えば。
「いつまでもアフタースクール」というブログの記事、これは起業家の「ぶんた」さんという方がやってるブログなんですけど、そこの記事からは…なんというか、背中を押された感じがしましたね。
(リンク:大学中退→起業の石田くんから相談を受けて思ったこと

あとは「シロクマの屑籠」の記事ですかね。なんというか「本当に覚悟があるのか?」みたいなことを言われてるのかなと思いました。それを踏まえた上で、がんばるしかないな、というか。
(リンク:では、君が失敗したら思いっきり笑ってさしあげようぞ。

わかり手
なるほど。はてなブックマークのコメントだけでなく、色々なブログでもだいぶ手厳しいことを書かれてましたが、それを受けても「がんばるぞ」という結論になるのはタフですね。僕が18歳の頃だったらこんなボロカス言われてたら3日は飯食えなくなってたと思います。マジで。

うーん…起業家としては未知数ですが、ブロガーとしての適性は間違いなくあると思います。PV稼いで注目されると、必然的に攻撃もされますので、それに耐えられるというのは有利です。北条かやさんとか、今だいぶ病んじゃってますものね。
(参考リンク:インターネットで死ぬということ 1度の炎上で折れた心 北条かや

石田さん
そうなんですか。僕の場合は、それはないかなって感じですね。

 

なぜ大学を中退し、起業を決意したのか

わかり手
では大学中退と、起業の話に移りましょうか。
このようにネットでは批判を浴びている石田さんの選択ですが、この選択に至った理由、きっかけ、というのはどこにあったんでしょう。
たった4ヶ月で大学をやめて起業というのは、なかなか簡単に選べる選択肢ではないと思うのですが。

石田さん
自分としてはそこまで不自然なことをしているつもりはないんですけれどね。
大学では全くワクワクすることがなかったし、4年間大学に通って得られる「新卒カード」にもそれほど魅力を感じませんでした。
独学できること以外を授業で学べるとも思いませんでしたし、同級生たちの多くにもあまり魅力を感じませんでした。みんな「普通」が好きなんだなって。

でも今やっている、例えば起業の準備であったり、メディア運営であったり、色々な活動をされてる方たちとの交流は、刺激的で、視野が広がって、何より面白い。だったら無駄なことに時間を使うより、自分が楽しめて視野を広げられると感じた方に注力するのは、そこまで変なことですかね?

わかり手
僕も高校中退後10年以上フリーで食ってる人間なので、気持ちはわかります。
まぁ僕の場合、実家の破産&僕の精神科入院で中退したので、石田さんのように進んで中退したわけではありませんが。

でも、石田さんの場合なら、学校に居続けてレールに乗りながら好きなことをするという選択肢もあったと思うんですが、なんでその道は選ばなかったんでしょうか。大学に行きたくなかったとか、そういう事情があったりしましたか。

石田さん
そういうのはありません。
友人もいたし、特に問題はありませんでした。
でも「余計なことに時間を使いたくない」という気持ちが強かったんですよ。

わかり手
なるほど…。
「中退して起業」という選択を、本当に自然なものとして考えているんですね…。
でも学生なら他の色んな選択肢を残したままにできるのに、なぜそんなに早く決定してしまったのか、という気はします。もっと時間をかけて選択しても良かったんじゃないですか…?

 

自分で人生を選ぶって、楽しいですよ

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石田さん
人生を、自分で選び取りたいって気持ちがあるんですよ。
これは僕のブログにも書いたんですが、僕は高校のころ吹奏楽部に入ってたんですね。でもそれは、自分で「吹奏楽部に入るぞ!」って決意したからじゃなくて、友達も入ったし、とか、歓迎会楽しかったし、とか、要するに「なんとなく」の選択だったんです。

実際に入ると、その吹奏楽部はめちゃくちゃ練習が厳しくて、朝から晩まで楽器を吹く日々。顧問は怖いし、ミスをするとなじられますし、周りは中学から楽器をやってた人ばかりでレベルに差があるし、そもそも僕は別に楽器を吹くのが好きじゃなかったということにも気づいて、もう最悪の日々だったんですね。

わかり手
あー、なんか「周囲に流されてなんとなく就職したらブラック企業だった」みたいな話ですね。

石田さん
まさにそれです。
でも退部するのは「逃げ」だなと思って辞めることはできなくて。
ストレスと緊張と恐怖を感じながら、

「全部吹奏楽部を選んだ自分が悪い」
「何も考えずに部活を選んだ自分が悪い」

とか思いながら最悪の高校生活を続けていました。

わかり手
なるほど…。
「なんとなく」を選択することで痛い目にあった、生々しい経験があるんですね

石田さん
そうです。
そんな自分を変えたくて、何かすごいこと、面白いことははないか、と思って始めたのがブログや起業です。
自分が「やりたい!」と思ったこと、それにチャレンジしたいんです。「なんとなく」の選択ではなく、心から「やりたい」と思ったもの、それを選択したい。自分の人生を、自分で選びたかったんです。

わかり手
なるほど…。
それで実際に「自分で選んだ人生」を歩んでみてどうですか?

石田さん
毎日が楽しいです。
一瞬一瞬が新鮮で、自分の可能性がどんどん広がっていると感じます。
高校や大学という枠の中にいたときとは全く違います。

わかり手
大学に行きながら、余った時間を「自分で選ぶ人生」に費やすという発想はなかったんですか?

石田さん
コミットメントの質が全く変わってくると思います。
例えば大学3年の就活の時期に起業のアイディアを思いついても、全力でそれにコミットすることはできませんよね?あれもこれもじゃなくて、自分の選んだことにすべてを注ぎたいんです。

わかり手
でも、それは失敗するかもしれない。

石田さん
失敗してもいいんです。
自分が選択した道を全力で進んでいくこと、それ自体が重要なんであって、その結末が失敗なのか成功なのかというのは本質じゃないんです。

そして今の自分は、自分が選んだ道を進んでいくことが最高に刺激的で楽しい。だから大学を続けるとか、そういう発想は僕の中にはなかったんです。

 

自己決定のリスク

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わかり手
石田さんの想いはよくわかりました。
しかし僭越ながら「自分で選んだ道を行く」ことのリスク、その点についても質問させて頂ければと思います。石田さんは「レールを外れる」こと、つまりフリーランスや起業家になることのリスクって、なんだと思いますか?

石田さん
思いつきません。あまり無いと思います。新卒で入った企業に依存できる時代じゃないですし。

わかり手
フリーランスのリスク、その1はまず健康です。
会社にいれば、年に何回か健康診断を受けられますよね?また就業時間の関係から規則正しい生活を送れます。
フリーランスや起業家は往々にして生活が乱れがちなんですよ。漫画家さんとか作家さんとか、若くして亡くなる方が多いと思いませんか?フリーランスも同じなんです。乱れた生活、健康管理の甘さ、不安定な仕事量と仕事時間。こういったリスクについて考えたことはありますか?

石田さん
それは…無いですね。

わかり手
当然ですよね。石田さんはまだ18歳ですし。
でも、確実に言えますが、フリーランスはよく病気になるし早死にしますよ。40代,50代で死ぬやつがゴロゴロいますから。

石田さん
まぁ、健康には気を付けていきたいですね…

わかり手
フリーランスのリスク、その2は生活です。
仕事量が変動するってことは、要するに収入が変動しまくるわけじゃないですか。するといきなり無一文になるかもしれない。石田さんは実家住まいのようなので問題ないと思われるかもしれませんが、ひとり立ちをしたり、また結婚したりしたら、これはめちゃくちゃ大きな枷ですよ。ローンも組めないですし。結婚もしづらいです。

生活が浮き沈みするって、石田さんは実感がないかもしれませんけど、本当にキツイです。来月の生活費を払えないかもしれない、そういう思いを抱えた時の惨めさとか悔しさとか情けなさとか悲しさとか、ATMで携帯料金が引き落されたせいで食費が足りないとか、そういうの、絶対出てきますよ。よっぽど上手くいってない限り。

石田さん
でも、それは普通のサラリーマンも同じじゃないですか?
サラリーマンだって解雇もされれば会社が潰れる人もいる。フリーランスだけの問題じゃないと思うんですが。

わかり手
同じではないと思います。
サラリーマンなら解雇されても解雇予告手当や失業保険も出るし、再就職先を探すインフラも整ってます。もちろん厳しい環境にいる勤め人も多くいますが、傾向としてはやはりフリーランスの方が生活は厳しいです。 フリーランスは、ひとたび沈んだらもうそのまま浮かんでこないとか、そんなの普通ですからね。

石田さん
でも、生活のことだけを考えて人生を送るわけじゃないとは思うんですよ。

わかり手
もちろんそうです。でも、そういうリスクがあることは認識すべきだと思います。
10年以上フリーで食ってきた中で「あ、フリーって社畜より生きるのムズいな」ってひしひしと実感しますから。

石田さん
うーん…それは、覚えておきます。

わかり手
最期、3つ目、これが一番大きなリスクだと僕は思うんですが、それは孤独です。
小学校、中学校、高校、大学と、今まではずっと周りに誰かがいる環境だったわけじゃないですか。
それがいきなり、自宅で1人コツコツと作業し続けなきゃならなくなる。

石田さん
僕が大学に行かなくなってもう4カ月経ちますが、友人たちとは連絡を取り合ってますし、そんな頻繁に人と会わないと寂しいとかそういうタイプでもないですから、そこはよくわからないですね。

わかり手
石田さんの友情を疑うわけではないんですが、友情じゃなくてライフサイクルの話なんです。
大学の友人もあと3年経てば就職するし、もう10年も経てば結婚して家庭に引きこもりはじめます。

そうなると、絶対に時間が合わなくなってくるんですね。連絡の頻度も落ちますし、会うのは年に1回くらいになります。それは情が薄いとかそういう話じゃなくて、優先すべき仕事や家庭が出てくるのが普通のひとにとって当たり前だからなんです。

だからフリーランスの人たちには、精神疾患持ちの方とか、アルコール依存症の方とかがめちゃくちゃ沢山います。今回、石田さんとの対談をこのメンヘラ.jp上でやろうと思ったのもそれが理由なんですね。フリーランスとメンヘラ、結構近い所にいるぞ、と。心の病気って予防が一番大事なので、フリーランスを目指す若い人たちには、そのリスクがあることを知っておいてほしかったんです。

石田さん
なるほど…。

わかり手
石田さんの「自分で自分の人生を選びたい」というお気持ちは、まぁ僕も近いとこあるのですごくわかります。
ですがその先にあるリスクも知った上で、注意しつつ、足元に気を付けつつフリーランスという獣道を歩いてほしいんですよ。今回みたいにネット中から批判の十字砲火を浴びるタイミングと、具合が悪い時期のタイミングが重なると、結構ヤバいですよ。フリーランス、自殺するひとめちゃくちゃ多いんで。

石田さん
…まだ実感はできないです。そういうこともあるのかな、という感じです。
今は「楽しい」という気持ちでいっぱいなので。ただお話はたぶん覚えておきます。

 

ガウェインの結婚

アーサー王伝説に由来する 「ガウェインの結婚」という物語があります。

昼か夜、どちらかの時間に醜い老婆と化してしまう呪われた美女ラグネル。

騎士ガウェインと結婚した彼女は、彼に問いかけます。

昼は美しく、夜は醜くなるべきでしょうか。
それとも昼は醜く、夜は美しくなるべきでしょうか。

ガウェインは悩みます。

昼に美しく、夜に醜ければ、妻は社交のとき恥をかかずに済みます。
しかし、夫婦の関係は冷え切ってしまうでしょう。

昼に醜く、夜に美しければ、妻は夫との不仲に苦しまずに済みます。
しかし妻は社交の場でつらい思いをします。

悩みに悩んだガウェインは答えます

私の決めることではない。あなたがどちらを耐えるか選ぶがよい。

するとラグネルの呪いは解け、昼も夜も美しいままの女に戻りました。
呪いを解くために必要なのは、自分の意志で、自分の運命を選択することだったのです。

 

…色々なバージョンがありますが、まぁそれはさておき。

石田さんのお話を聞いて、僕が連想したのがこの「ガウェインの結婚」の物語でした。

「運命を自ら選択することこそ尊い」

そう暗示するこの伝説は、石田さんの決断の背景にある思想と驚くほどよく似ています。

「なんとなく」周囲に流され、結果不幸な高校生活を送ることになった石田さん。そんな彼が「周囲に流されず、自分で決めること」に価値を置くのは、ある意味では合理的な、過去の失敗を繰り返すまいとする考えなのだと思います。

しかし、現実は騎士道物語ほど美しくありません。

現実の世界で、「自己決定」の魔法が、老婆を美姫に変えられるとは限らないのです。

自己決定という魔法と、若さという剣は、全ての困難を切り裂けるのか。

泉の陰から見守っていきたいと思います。


The following two tabs change content below.

わかり手

メンヘラ.jpのライター兼編集者。 メンヘラなりに前向きに生きていきたい。好きなメンヘラ作家は永田カビ先生。

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