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脳科学を教育に活かす!Part2 「セロトニン欠乏脳」?キレる脳を鍛え直す?

 事業名 スポーツ・文化・福祉等の実情調査及び研究等
 団体名 日本財団(The Nippon Foundation  


 宗派を問わず、曹洞宗、臨済宗、真言宗、いろんなお坊さんが来てくれてやっていますけれども、内容は大体同じです。実は暗証した繰り返しがセロトニン神経の活性化に一番いいのです。それはほぼ同じです。昔、子供の寺子屋で論語を教わされた。あれも恐らく、子供は意味が分からなくても、暗証して繰り返す。あの繰り返しの一種の運動ですよね。あれはセロトニン神経の活性化、ないしは大脳皮質のアルファ2を出すとすっきり爽快の状態を作ってくれるという点では、間違いなくいいだろうと。その内容の問題ではなくて、頭の準備運動としては最高だろうというふうに、こういうことから考えられます。
 もう一つここに、前頭前野の血流変化というのがあります。私の研究は、脳幹にあるセロトニン神経に焦点を当てて、そこから大脳皮質の影響を考えているのですが、一体リズムの運動をすることがどういう経路でセロトニン神経を活性化させているのか。そこの一つの微妙なポイントが、この前頭前野、ここ、前頭葉です。人間が一番発達している所。この前頭葉の血流は実をここで測っています。唱題を含む前頭葉の血流がばーっと増えます。それに併せてアルファ2、速いアルファ波がばっと出ます。前頭葉の血流が増えるということは、セロトニン神経を活性化し、そしてそれがこの経路になります。今、大脳の変化を見たのですが、その経路にセロトニン神経が関係があるというところまでお話ししました。
 
 
 
 このセロトニン神経を活性化するのは何かというと、実は、前頭前野、前頭葉の働きです。ですから、意識してリズムの運動をするということをしますと、中位脳の前頭前野は発達します。それが続いているとセロトニン神経の活性化が起こって、大脳全体に影響を及ぼす。
 ポイントは最低5分というのをどうするのか。それから30分ぐらいです。あまり長くやって疲労しますとセロトニン神経には良くないということで、覚醒ということを考えたときには、集中してやりなさいと。集中してやることが一番大切です。だらだらとやっちゃいけない。それから、ながら族的にやっちゃいけない。座禅をやるとき、わざわざ壁に向かってやりますよね。壁に向かうということの意味は、目から余計な情報が入ってこない。集中をするための一つの様式だと言われます。
 それから、座禅をするときには目を閉じないのです。閉じないというのはどういうことかというと、閉じちゃうと雑念が出てきますから、やはり集中ができない。そういう、集中してリズムの運動をする。実はこれが一番大切なポイントになります。リズムの運動をしなければこれは全然駄目です。では、リズムの運動をどうやってやるのか。座禅では、調身・調息・調心と言います。最初の調身は体を調える。2番目の調息は呼吸を調える。最後の調心は心を調える。実は、心を調えないと、セロトニン神経は心に届かない。
 どういうことかというと、ものすごく分かりやすいのは、歩くことを考えるのです。歩くときに、散歩じゃ駄目なのです。あれこれ見て、あそこに花が咲いているとか、友達と話をしながら歩く。これはセロトニン神経に全然影響しないのです。歩くという行動に集中しないといけない。どうするかというと、エクササイズウオーキングで、たくさん歩いていますよね。それから、ジョギングになると、もう走らざるを得ない。あの状態を作ってやると、前頭前野が動いて今の状態になる。
 一つの例が、自転車競技者と学生に自転車をこがせた。これもリズム運動です。ところが、自転車競技者はプロだから、セロトニン神経は僕らと逆だったのです。素人の学生のほうが活性化されたのです。何でだと。負荷が軽いのです。流してしまう。流した負荷をやってると、セロトニン神経が活性化された状態が全然出てこない。では、本当のトレーニングみたいにちゃんと負荷を掛けて一生懸命やってくれというと、見事に出てきます。そのレベルがぐっと上がります。
 ですから、ちょっと負荷が加わってリズムの運動する。これがポイントです。それは何に利いてくるのかというと、意識をほかのことに散らせない。調身・調息・調心の調心がポイントなのです。そこが、私たちがこのリズムの運動、ただリズムの運動をやればいいんじゃないんだというのは見えてきたという部分です。集中して単純なリズムの運動に意識をします。リズムの運動を繰り返す。そういうものを5分以上だいたい2、30分。あまり長く、疲労になると、今度、セロトニン神経が弱っちゃいますから駄目なのです。
 これは前頭前野の意味です。前頭前野の中には心の意味、共感に関係する部分というのがあります。恐らくこういう所が動くんだろうというふうに考えますけれども、今日はちょっと前頭前野の話は、はしょらせていただきます。
 もう一つ、今度は痛みです。本当に痛みが調節できるのかどうか。これも研究をやってみました。これは、ガムをかませるのです。ガムをかませると本当に痛みが消えるのか。リズムの運動でチューインガムをかませるだけなのです。ところが、本当に痛みが治まるのです。
 これは細かすぎますから簡単な話だけにしますけれども、このくるぶしの後ろに電気刺激を与えるのです。痛いです。電気刺激をしますと痛いですから、反応が起きる。これ、引っ込め反射と言います。引っ込め反射の程度をこういうふうに面積を測るのです。その間、チューインガムをひたすらかませる。かんでいるということと、痛みを分からないように与えるという、その実験をやったのです。
 これが今の面積を測ったものですけども、5分ぐらいすると多くの人が痛みを抑制されるといいます。大体20分かませますけれども、20分間ずっとかんでると、痛みが落ちます。かみ終わったあとも、約30分ぐらいずっとその状態が続きます。このときのセロトニンを実際に5-HTレベル、セロトニンですが、セロトニンを測りますと、確かに出てる。ですから、セロトニン神経が活性化されて痛みが抑えられるということも証明できる。
 
 
 それからもう一つは、本当に筋肉に影響があるのかという、これもやってみました。今度は細かい話になりますが、この後ろのヒラメ筋の筋電図というのを採ります。筋電図を誘発するのに電気刺激を与えます。ここに電気刺激を与えます。さっきと違う場所です。ここの所に電気刺激を与えて筋電図を採る。そのときに座禅の呼吸法をやってみる。足とは全然関係ないわけです。それを20分間やらせるのです。これがその反応ですが、刺激がだんだん大きくなってくるのが分かると思います。やってるのは腹筋のリズム性の運動をやっているのに、筋肉の活動が変わってしまうのです。
 これはどういうことかというと、普通、筋肉の活動が変わるということは、筋肉の力が強く出る。筋力を上昇するのには、普通は大体、筋トレをやりますよね。筋肉自身に刺激を与えるのですが、この場合には、脳の神経が、神経が神経を介して筋力がアップする。火事場の馬鹿力とかいろいろ言われますけれども、神経自身が筋力を上げてくれるというエビデンスになります。それがセロトニン神経の働きです。ただ、セロトニン神経の場合には、どの筋肉に一番影響を与えるのかというと、背筋、それから姿勢の筋肉です。細かいこういう筋肉ではないのです。細かい作業をする筋肉じゃなくて、体の芯の筋肉です。抗重力筋と言います。
 もともとセロトニン神経というのは覚醒の神経だという話をしましたけれども、眠くなると何が起きるか、皆さん考えると分かると思います。目がとろんとして、まぶたが落ちちゃう。これは抗重力筋です。それから顔に締まりがなくなって、よだれが出る、これも抗重力筋です。それから首が立たなくなる。それから、もちろん立っていられなくなる。足もがくっとする。これは全部、抗重力筋です。







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更新日: 2016年9月17日

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