読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

散るろぐ

千載具眼の徒を待つ

僕には親になる資格がない

暮らし

Profile チルド -|- 貯蓄家

理想の親ってなんだろう。

僕は独身で、この先も独身のままで、きっと戸籍には丸もバツも付かずに終わっちゃうんだよ。

だけど、ときどき夜空の星を見上げて思う。僕にも子供がいたら、もっと充実した人生を送れたんじゃないかって…。

f:id:cild:20160919064318p:plain

公務員のTさん

人見知りに定評のある僕だけど、唯一、話しかけられるのがTさん。Tさんは市役所で働いている男の人。僕より3つ年上の43歳。

知り合ったのは、通っているスポーツジム。息子さんが水泳を習っているから、自分も入会したらしい。

Tさんは、とにかく人あたりが良い。太ってはいないけど見事なビール腹で、いつも快活。いつも笑顔で安定してる。

僕の話もよく聞いてくれて、トライアスロンの練習にも誘ってくれた。

Tさんの息子さんは、一緒にトライアスロンをやっている。だから、ジムで水泳やランニングマシーンをやって、クルマで片道40分かかる道のりを、自転車で通勤したりしている。

Tさんのお嫁さんにも、たまに会う。穏やかなぽっちゃりタイプの癒し系。お母さんになるために生まれてきたって感じ。趣味はアメーバピグ。


Tさんの子供

そんな両親に育てられたTさんの息子は、いま高校1年生。僕は中学2年生のころから知ってるけど、ホントにいい子なんだよね。

他の子供のように、屈折したところがなくて、僕がTさんにあげた「フルーツどっさりゼリー」も、食べましたー、とか言ってくれて。

子供って、親にお礼を言っておくように、なんて言われると、有難うございました、みたいに定形的になるものだけど、違うんだよ。

Tさんの息子は、食べてる、食べてる、と言ってくれて、これは、「有難うございました、美味しかったです」なんてのより、ずっと素直で感じがいい。

あの両親に育てられれば、やっぱり真っ直ぐ育つんだよ。そんな現実を、まざまざと見た。


親のライセンス

翻って(ひるがえりたくないけど)、僕だったらどうだろう。

ポケモンGOを肌身はなさずやっていて、仕事には誇りをもてなくて…。人付き合いは苦手。声も小さい。休みの日には、スマホを見ながらひとりでニヤニヤ。

勉強は生まれて一度もできなくて、成績表は1と2ばかり。二十歳から四十歳まで、失われた20年を子供の延長線上にいる。

口癖は、「お腹すいたー」と「きょうご飯ある?」だよ。

ホントに、ある日、子供のまんま来てしまったことにハッとする。

子供は親の背中を見て育つと言われてる。だけど、僕は、基本的なことがなってないんだ。モラルを持つとか、約束を守るなんてことが…。

僕には、親になる資格がないんだ。