(2016.02.26 更新)
〓29.97fpsとかドロップフレームがなぜ生まれたのか?
高柳健次郎氏がイロハの「イ」を初めてブラウン管に映し出して始まったテレビの歴史。最初は今とちがって、アナログのモノクロ映像だったので、30fps(1秒で30フレーム再生)で放送するということで特に問題はおきなかったようだ。(fps=Frame Per Second)。細かいことを言うとテレビ信号は1コマをそのまま出力はできず、1フレームをさらに2つに分離したフィールドというもので1/60秒ごとに出力して1コマを表現するインターレース方式で表示している。
しかし、カラー放送が始まるときに色がつくことで情報が増えたために、モノクロ放送と比べて1時間に3.6秒のずれが生じてしまった。そのずれを解消するために、余分なフレームを間引いて、フレームレートを29.97fpsに統一した。なので、自分が映像を作るときにもその形式に合わせたタイムコードの表記で映像を作らないと、放送上に乗ったときにずれが生じてしまうわけだ。さらに、放送上の規格としてはタイムコードの設定をドロップフレーム(DF)にすることで、実際に放送されるタイムコードの表記と一緒になり、ずれがなくなるということになっている。放送などの実時間と正確に合わせる必要がないもの、VPとかDVDやBlu-rayなどはそこは気にする必要はないので、ノンドロップフレーム(NDF)を利用することが多いようだ。NDFの方がフレーム計算もしやすいし、わかりやすいというのもある。
ここまでは、SD(Standard Difinitionの略)とよばれる640pix✕480pixの画面サイズの話(細かくいうとサイズが違う)で、現在、テレビ放送も完全デジタルHD(High Difinitionの略)化されて1920pix✕1080pixと画面サイズも変わったが、タイムコードの表記もSDとHDの互換性を維持するために、29.97fpsのフレームレートを採用しているようだ。これからはさらに、4K映像、8K映像と放送する画面サイズがこれからどんどん大きくなるにつれて、この規格も変革が来るかもしれない。ちなみに、4KのKは10の3乗=1000の意味だから、横幅約4000pixの映像という意味。HDだと横幅1920pix約2Kということを意味する。1Kg=1,000gのKのキロ単位と同じだとイメージしてる人どのくらいいるんだろうか。
また、最近は同じソースから映像サイズをいくつも作る場合が多いので、インターレースで撮影するとかえって邪魔になることもあり、プログレッシブで撮影することがいろいろ都合がよいこともある。
結局のところ、29.97fpsとかDFとかNDF(ノンドロとも言う)の話は、放送規格に合わせたものを作るときに必要な話で、現在、webで見る動画や、特殊な機器で再生する映像などは、このあたりの話は気にしなくていいと思われる。だから、放送関係以外ではNDFの30fps指定で作って問題ないだろう。DFとかNDFはあくまでもタイムコードを表記する方法なので、DFの29.97fps、NDFの29.97fpsも存在するのでそこがややこしいところだったりもする。。。
*参考資料になりそうなものを以下に記述。
〓音響映像設備マニュアル
学生の時に教科書的に推奨された本。音響ベースだが、映像のことも丁寧に書かれている。
音響映像設備マニュアル 2015年改訂版 (リットーミュージック・ムック)
- 作者: リットーミュージック出版部
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2015/03/12
- メディア: ムック
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〓痛快コンピュータ学
アナログって何?デジタルって何?って思った人は、読むと楽しく学べると思う。
- 作者: 坂村健
- 出版社/メーカー: 集英社インターナショナル
- 発売日: 1999/11
- メディア: 単行本
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こちらも参考になるはず。
Link「ayato@web|テレビデザインの基礎知識 05」