【コラム】日本政府の拠出金10億円は恥ずかしいカネなのか

【コラム】日本政府の拠出金10億円は恥ずかしいカネなのか

 10億円が日本から届いた。昨年12月28日の韓日合意で旧日本軍の元従軍慰安婦たちが負った心の傷を癒やすため、日本政府の予算から拠出すると約束した金だ。元慰安婦個人の傷を癒すのに受け取った金をどう使うかは、今後の韓国側の役目になる。しかし、このままではこの金は元慰安婦たちに新たな傷を残すことになりそうだ。

 おとといの大統領府での会合で、野党代表が朴槿恵(パク・クネ)大統領に「10億円で歴史を消し、我々の自尊心を売ってはならない」と言った。別の野党代表は元慰安婦支援団体と共にした場で「日本政府の名分のない10億円は元慰安婦たちにとって恥辱的だ」と話したという。「スティグマ理論」という言葉がある。否定的な烙印(らくいん=スティグマ)を押すと、押された対象が実際に否定的なものに変わってしまうという理論だ。10億円が恥辱的だと言うなら、その金を受け取った元慰安婦はこの社会でどのような烙印を押されるのだろうか。野党代表は今、横暴にも金ではなく実は元慰安婦たちに烙印を押しているのだ。

 日本が20年前に「女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」を設立し、元慰安婦に「償い金」を支払った時もそうだった。当時、元慰安婦支援団体を率いていた数人はこの資金を「人間の尊厳と名誉を再び毀損(きそん)するだろう」と言った。政府に登録された元慰安婦238人のうち61人が金を受け取った。61人は金を受け取ったことにより、自ら人間の尊厳と名誉を再び毀損したのだろうか。韓国社会の厳しい批判のせいで心に傷を負い、社会から疎外され、静かに息を引き取った元慰安婦たちは少なくない。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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