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青年の歩み
「……!」
滅びた民族の跡地を初めて目の前にした青年は、思わず息を飲み、その体を強ばらせる。跡地を見ながら、現状で判明したこの場所についての情報、つまり、自身の脳内の情報を、夢中でてらしあわせていった。その横で、探索のリーダーである男が歯を出して笑う。
「言っただろ? お前はここに来るべきだって……。」
ユースは、学生でありながら考古学の最先端を学ぶ、忙しい日々を送っていた。彼が3歳の時から生活を共にする義父が考古学者であることから、幼い頃から考古学の知識を身につけていったことで、彼には義父と同等の知識が詰め込まれていた。また、彼には、先天性なカリスマ性と、誰にも真似できない柔軟な発想とひらめきがあった。結果、誰もが認める天才的考古学者の青年が生まれたのだった。
「さて、どこか見たい所はあるか?」
リーダーの男、ロードはユースの髪をくしゃくしゃにしながら言った。
「やめてくださいよ、ロードさん。……とりあえず、全体的に見て回りたいです。」
「わかった。じゃあ、来たことがある奴はここで解散にしよう。初めての奴には、この俺が 直々にここを全部紹介してやるよ。」
他のメンバーは各々にロードに返事を返し、自分の研究対象へ向かう者、ロードの近くに残る者と別れた。
「ロードさんって、この跡地の研究責任者なんですよね?」
「ん? ああ…まあな。」
自身の義父の親友が大役を任されていると本人の口から聞き、ユースはなんとなく嬉しくなる。
「だが、そのせいで俺の調査がなかなか順調に進まねえんだよ……。むしゃくしゃするね、責任なんてもんは。」
そう言いながらも、どこか嬉しそうなのは、きっと気のせいでは無いだろう。
「よし、じゃあ、そろそろ行くか!!」
そうして、ユースは水晶に包まれた謎の民族の跡地へと足を踏み入れた。
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