ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】   作:月乃杜
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 血迷って始めたダンまち二次、他の作品が余り進まないからちょっと手を掛けてしまいました。

 尚、ステイタスの基本アビリティは【神の恩恵】のプラス分が表示──というのがこの噺の設定ですが、原作公式で違った設定だった場合、そちらに準拠をする予定です。


 第1話はサイトで未公開の状態で書いている噺で、リリとの出逢いを書き終えたら投稿予定。


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プロローグ
第0話:ある時のダンジョンの一日は間違っているだろうか


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「はぁぁっ!」

 裂帛の気合いと共に振り下ろされる白刃。

『ギィィヤァァァッ!』

 醜いモンスターが悲鳴を上げながら灰に還る。

「相変わらず、サポーター泣かせですねユート様は」

 ジト目で睨むのは栗色の髪の毛の小人族(パルゥム)の少女で、背中にバックパックと呼ばれる自身よりも大きな袋を背負っていた。

 サポーターと呼ばれている職業で、彼女の様な存在が居れば冒険者達は戦闘に専念する事が出来る。

 とはいえ、サポーターは基本的に冒険者に寄生する者として蔑まれていた。

 少女も同じくで、ユートと出逢って仲を深めるまでは『冒険者なんて嫌いです』と言い続けるくらいに嫌っており、それが故に陥れたり金品を盗んだりと悪さもしていたらしい。

 そも、ユートに近付いたのも初心者(カモ)を食い物にしてやろうと思ったからに他ならず、だけどそれが失敗して割と酷い目に遭ってしまう。

 自業自得だけど。

「おら、リリスケ! 此方はまたドロップアイテムが出たぜ? 必要ねーユートに構ってねーで、そろそろ此方のアイテムの回収を頼むわ!」

「判りましたヴェルフ様」

 リリスケと呼ばれた少女は背中のバックパックを背負い直し、ヴェルフという赤毛の青年の方へ走る。

「いや、本当に面白い世界だよな」

「割かし吹っ切れたよね、キリトも。デスゲームなんて目じゃない本物の生命のやり取り、VRMMOとかと違って痛みも傷も流れ出る血も悲鳴も全てが本物(リアル)だってのに」

「今でも恐いさ。だけど、優斗が用意してくれた武器──エリュシデータとダークリパルサーが有るしさ、俺好みの防具が守ってくれている。何よりも……」

 キリトと呼ばれた黒髪に黒い防具な黒ずくめな青年が周囲を見遣ると、赤毛のバンダナに野武士な装身具に身を包んだ男、黒い髪の毛をボブカットにした巨乳を揺らす少女に、亜麻色なロングヘアーにモデル体型の美少女、見た目に小さなツインテールに髪の毛を結わい付けた緋色な装身具の少女、茶に近い黒髪に翠を基調とした服装に胸当てを着けた弓使いの少女、桃色の髪の毛は染めているのだが赤い服にエプロンドレスな装身具に鎚を手にしている少女、そんな少女を護る青年、黒髪に左に泣き黒子のある槍使いの少女、挙げていけば切りがない面子が薄暗いダンジョン内で大暴れをしているのが見えた。

「こうしてSAOサヴァイバーの皆が居る!」

 ユートがSAO──ソードアート・オンラインというVRMMO−RPGへと囚われクリアをしてから、もう可成りの時間が経過をしていたが、SAOクリアに貢献をしたサヴァイバーは普通に存在している。

 何人かはユートの閃姫──使徒である為、その人物なら理解もまだ出来たが、閃姫はその性質上から女性に限定されるから、キリトや赤毛のバンダナ男なんて適用外である。

 更には、キリトの嫁など普通に有り得ない。

 まあ、キリトが先に死んでから彼女と再婚をしたら半使徒にする事も可能ではあるが……

「リーファモード!」

 スキル【風精変身(シルフィード)】を用いる事によって、ボブカットで巨乳な剣士が金髪ロングをポニーテールに纏めた姿に変化をして、更に本来なら存在しない器官──羽根を持って宙を舞う。

 【神の恩恵(ファルナ)】を受けて新たに手に入れた力の一つであり、アルヴヘイム・オンライン──通称ALOでのもう一つの姿。

「スグ! 竜が相手だし、気を付けろよ!」

「判ってるよ、お兄ちゃんも心配性だなぁ!」

 キリトの妹のリーファ、基本アビリティの力は大したものではないが、俊敏と魔力に関しては追随を許さないくらいに上がる。

 飛んできたワイバーンらしき飛竜の翼に矢が次々と刺さり、それによってぐらついたのを好機とばかりに腰の細身な刀を抜き放ち、風を纏って突進をして額へと突き入れた。

「見たか! アイズさんの直伝、リル・ラファーガ」

 ガッツポーズを取りながら墜ちる飛竜を見る。

 下ではリリスケと呼ばれた少女が飛竜の死体に近付くと、あっさりと手にした短刀で切り開いて中身である魔石を取り出す。

 その瞬間、飛竜は灰へと還って存在を消した。

 遺されるのは牙と爪。

「ドロップアイテムの【飛竜の牙】と【飛竜の爪】、確かに手に入りました」

 迷宮都市オラリオには、世界で唯一のダンジョンが存在しており、冒険者達はダンジョンに日がな潜ってはモンスターと戦い、それによって獲られるであろう魔石、そして魔石を喪って灰となっても尚残るドロップアイテムで糧を得る。

 また、ダンジョン内には様々に役立つアイテムが眠るが故に、尽きる事も無く冒険者が挑んでいた。

 何故かダンジョンに出会いを求めてやって来た少年も居たが、それは特殊な例であると声を大にして言いたい……いや、マジに。

「さて、モンスターも狩り尽くしたみたいだからさ、そろそろ休憩にするか」

 ダンジョンがモンスターを生む、然れどリポップするには時間も掛かる。

 ユートはこの世界で得た仲間と、喚び出したSAOの仲間を呼んでお茶の準備を始めるのだった。

 ユートが神ヘスティアと逢ってそれなりに時間が経ったが、それなりに充実した時間を過ごしている。



 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか【魔を滅する転生窟】──始まります。


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 プロローグながら今までと趣向を変えて、少しだけ未来の噺になっています。

 タグの通りSAOから、キリト達──SAOサヴァイバーが登場します。

 因みにキリトのステイタスの場合……


名前:桐ヶ谷和人
所属:ヘスティア・ファミリア
種族:ヒューマン

レベル:3
力:E452
耐久:H165
器用:F320
俊敏:B756
魔力:H80

《発展アビリティ》
【剣士】
【耐異常】

《魔法》
【ディスカバー】──広義に於ける発見。使用する事により宝や魔物や人間の位置を知れる。捜したいモノのイメージが必須。詠唱式『我が第三の眼は総てを見て全てを知り得る』

【ステータス・ウィンドウ】──ユートが与えた力。自らのステイタスを見る事が可能。お金やアイテムを無限に収納。

《スキル》
【芸夢生存(SAOサヴァイバー)】──常に発動。経験値にプラス補正。SAOで得た記憶の顕在化。

【刀剣技芸(ソードアート)】──特殊な剣技を発動。その武器で発動出来る技のみ使用可能。使い続けると威力と精度が上昇。

【二刀流式(ツイン・ソード)】──片手剣を両手に装備可能。スキル【刀剣技芸】の種類変更。



 まあ、例えばですが……

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