豊洲市場の盛り土 専門家と都 認識ずれたまま議論終了

豊洲市場の盛り土 専門家と都 認識ずれたまま議論終了
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豊洲市場の土壌汚染対策をめぐる問題で、対策工事の方法を検討する「技術会議」の場では、「専門家会議」の提言どおり、盛り土を敷地全体に行う前提で発言する専門家と、建物の地下には盛り土をしない前提で発言する東京都の担当者との間で認識がずれたまま、おととし議論を終えていたことがわかりました。
豊洲市場の土壌汚染対策をめぐっては、東京都が「専門家会議」から平成20年に敷地全体に盛り土を行うよう提言を受けたにもかかわらず、その後、独断で、建物の地下には盛り土をしない方針を決めたことが分かっています。

都は、提言に反して独断で決めた方針を、別の専門家で作る「技術会議」で示しましたが、十分な説明を行わなかったため、都と専門家との間で認識がずれたまま議論を終えていたことがわかりました。

おととし11月の「技術会議」の最終回で専門家が、盛り土を敷地全体に行った前提で、取り除いた土砂の量に比べて新たに埋め戻した土砂の量が少なくなっていることについて理由を尋ねたのに対し、都の担当者は建物の地下には盛り土を行わないため、その分、埋め戻す土砂の量は少なくなるという趣旨の説明をしていました。しかし専門家は、都の回答に対しても、改めて、敷地全体に盛り土を行ったことを確認する質問を行っていて、都の方針を理解していなかったものとみられます。この認識のずれについては、有識者で作るプロジェクトチームでも着目していて、当時の都の対応の経緯を詳しく調べることにしています。

技術会議 最終回の議論は

豊洲市場の土壌汚染対策の柱である盛り土をめぐる「認識のずれ」は、6年間の議論の末、おととし11月の「技術会議」の最終回まで続きました。
議事録などによりますと、この会議で、専門家は、盛り土を敷地全体に行ったことを前提に、「これだけのもの(土砂)が出てきているわけですから、これだけの量が戻ってきているのかなと思う」と述べ、取り除いた土砂の量に比べて新たに埋め戻した土砂の量が少なくなっていることについて、理由を尋ねました。
これに対し都の担当者は「先生のご質問は、掘削した土の量に対して埋め戻しの土の量がちょっと少ないのでその差についてということですが」と質問の内容を確認し「建築敷地、それ以外のところを盛り土というところで」と述べて、「建築敷地」つまり建物の地下は盛り土をせず、それ以外に盛り土をするため、埋め戻す土砂の量は少なくなると説明しました。
ところが専門家は「2メートルの深さは全部掘削して、きれいな土と入れ替えて、さらに2.5メートルの高さまできれいな土を入れるということでよろしいわけですね」と、「専門家会議」の提言通りに、敷地全体に盛り土を行ったのか念押しの質問をします。それにも関わらず、都の担当者は、専門家の発言を勘違いして、「はい」と答え、ちぐはぐなやり取りになっています。
これを受けて専門家は、「土壌も入れ替えて、地下水についても最新の技術でいろんなものを組み合わせてきれいにしたということになります。人がこの豊洲で生活していく上で健康影響が生じることなく、生鮮食料品を扱う市場として安全性が確認できたと考えます」とまとめ、豊洲市場の敷地における土壌汚染対策が完了したことを確認しました。
そして最後に、都の責任者の市場長が、「世界に類をみない大変大規模な、かつ抜本的な対策を重ねてきたもので、都としては豊洲新市場の用地の安全性が確認できたものと認識します」と述べて、会議は終わりました。