台北には、たくさんのゴッドハンドがいるという噂を聞いて、ひとっ飛び。マッサージの本場で、身も心も癒されまくってきました!
「Fujin tree」グループ代表で、台湾きっての若手ファッションプロデューサー、ジェイ・ウー氏が手がけるオシャレ系マッサージ店がここ。ローカル色が強い按摩店が大半の台湾において、その概念を覆すインテリアと空気感。そして働くマッサージ師たちも皆、腕利き&“感じがいい”。中でも依依さんはキャリア16年のベテランで「彼女じゃないと」という指名も多数だ。グループのコンセプトが「ナチュラルで上質な生活」ということで、オイルマッサージには食用エクストラバージンオリーブオイルを使うコースがあるのも斬新である。
台北市信義區忠孝東路5段524巷10號
Tel.02-2727-5000
営12:00〜23:00(土・日11:00〜) 無休
全身マッサージ 60分 1000元〜(足裏マッサージを組み合わせることも可能)
https://www.facebook.com/RelaxingTrip.by.Fujintree
台湾の街角でたまに見かけるかなり不思議なマッサージ。出刃包丁(注・実際には切れません)を振りかざしトントコする、カンフー映画に冗談で出てきそうなマッサージだが、正式には刀療という。こちらのゴッドハンド・蕭さんはかつてアロマ教室の先生だったが、この技術に魅せられ転身、今年で11年になる。右は陽、左は陰の気が宿るそうで、包丁には悪い妖怪を切る意味もあるそうだ。包丁の刃の細い圧、重さで叩くと、打たせ湯を浴びているような心地よさも。施術者が2人、包丁4本になると、さらに気の流れが感じられるという。
台北市大同區南京西路235號2樓(建昇蕾絲店内の階段から上がる)
Tel.02-2556-5911
営9:00〜20:00
60分 660元〜 ※完全予約制
台湾には視覚障がい者が働くマッサージ店(盲人按摩)というものが珍しくないのだが、どこもシブいイメージということは否めない。そこで「おしゃれな盲人按摩があってもいいじゃないか。カフェも併設されているような」というコンセプトで2016年2月にオープンした、社会的にも新しい試みの店舗。皆、国家資格を持つ有資格者で、ツボや漢方、筋肉の知識がある。こちらのゴッドハンドはこの道12年の賴さん。一見、穏やかでもの静かなキャラクターだが、グイグイと的確に足ツボを押す様子は、腕にかなりの自信アリ……と見受けた。
台北市中山區龍江路298巷16號
Tel.02-7730-9151
営11:30〜21:00 無休
5分肩もみ+10分脚浴+45分足裏 1500元(軽食付き)
http://www.fingertalks.com.tw/
ローカルはもちろん、日本人駐在員たちのファンも多い国際伝統医学博士である楊宗義さんの整体。楊さんは気功を使った足裏マッサージや整体を施術するゴッドハンドで、その技術を広めようと教室も開いている。施術時間はたった10分ほど。痛くもない、怖くもない。触診の後に身体をねじったり押したりする際に気功を施しているのだ。施術後はまるで生き返ったようなスッキリ感が得られるからハマる人も多い。楊先生のお兄さんである流雲さんの占いも「恐ろしいほど当たる」という噂。興味のある人はセットでぜひ(要予約)。
台北市大同區哈密街142號
Tel.02-2594-1192
営10:00〜20:30 休 土・日
整体 2000元、占い 5000元(日本語通訳付き) ※予約制
sougendo@gmail.com(日本語可)
設備よし、立地よしな上に24時間営業で年中無休。そんな夢のような『千里行』の店名の由来は、「ここでマッサージすると千里の距離もなんなく歩ける」という意味から。こちらのゴッドハンドは全身担当が26番の女性で29歳、キャリア10年。足裏担当が99番の男性でここの看板マッサージ師だ。ちなみに台湾のマッサージ店では技術者を番号で呼ぶことが多い。足裏マッサージの最後に99番がふくらはぎを高速かつリズミカルに叩くのだが、これがまた凄技。「打楽器やってましたか?」と聞きたくなるくらいのテクニシャンである。
台北市中山區南京東路2段62號
Tel.02-2531-5880
営24時間営業 無休
足裏40分+全身60分 1650元、脚の角質除去 550元
http://www.1000m.com.tw/
高級飲食店を経営するグループが母体なだけに、内装はひとことで言えば豪華絢爛。著名人が来店してもさりげなくエスコートできるように駐車場から直結の動線があるあたり、気配り・おもてなし上手な店である。こちらのゴッドハンドは経験15年の198番。体格がよい女性でグイグイ体重をかけてくるパワーマッサージャーだ。そして“耳師”と呼ばれる50年の大ベテランのおばさまの耳かき。どこぞの国の女子高生お遊び耳かきごっことは訳が違う。信じられないくらいの快感らしい。台湾でそんな初体験もいいかもしれない。
台北市大安區仁愛路4段27巷6號之1
Tel.02-2777-1220
営12:00〜24:00 無休
全身マッサージ 90分 2250元、耳かき 450元
http://www.orangeshabu.com.tw/page05.asp
小林といっても『コバヤシ』ではない。名前についている“小”というのは“~ちゃん”という意味がある。つまりこの場合は“リンちゃん”美容室という意味の、老舗ローカル美容室だ。特に古い台湾人女性は自分で髪を洗わず、美容室で洗う習慣がある。通勤前、帰宅途中、美容室で髪を洗うのは日常なのだ。そんなこの店のゴッドハンドは小筠さん。台湾式シャンプーは椅子に座ったまま洗うスタイル。だから足マッサージも同時にお願いできる。足マッサの達人は鄭さん。美容師ではないのに巧すぎてこの店の顔的存在、というのもおもしろい。
台北市大安區忠孝東路四段216巷36-1號2樓
Tel.02-2752-6868
営8:30〜20:30(土・日・祝〜18:30)
休 第2・第4日曜、旧正月
台湾式シャンプー300元〜、足マッサージ 40分 600元
https://www.facebook.com/showlinsalonjp
1日目──グイグイからのホットストーン
台北の街には、足裏のイラストが描かれた「脚底按摩」や「推拿」といった看板があふれている。台湾は、“国民全員健康マニア”らしく、みんな漢方薬や健康食、マッサージが大好き。さまざまなマッサージ店があり、いずれも高レベル。おまけに日本に比べて料金も安い。まだ見ぬゴッドハンドを探して、いざ台北へ──。
到着早々に訪ねたのは、『GQ TAIWAN』から推薦された「沐綠身活(Relaxing Trip)」。明るく清潔感にあふれる店は、「日本人も気持ちよく入れるマッサージ店」を目指してオープンしたそう。こちらのゴッドハンド、依依さんは、台湾の伝統的なマッサージにホットストーンなど、ロミロミ風の技術も取り入れた施術で、日本人の出張客にも人気が高いとか。グイグイくるかと思うと、ホットストーンで優しく温めてくる。この緩急がゴッドハンドたる所以か。いつの間にか眠りに落ちてしまっていた。90分間のマッサージが終わると、体がポカポカと温まり、飛行機でむくんだ足もスッキリ。台湾観光が目的ならこの店から始めるのは正解だろう。
それにしても台北は暑い。6月で昼間の気温は36〜38℃。湿度も日本よりも高い。外を3分も歩けば、汗だくでバテバテだ。“国民全員健康マニア”なのも、そんなところに理由があるのかもしれない。
2日目前半──美女に全身を刻まれる快感
2日目は、怒涛のゴッドハンドめぐり。まずは台湾独特の“包丁トントコマッサージ”の「先天世界刀療易經晴光會館」。怪しげな療法に二の足を踏んだが、現れたゴッドハンドの蕭さんが美女だったため、気分もほっこり。ストレッチ風の体操が終わると診療台へ。するといきなり蕭さんが出刃包丁を両手に持って、体をひたすら刻む!いつの間にかアシスタントも加わり、4本の包丁で足や背中をとにかく刻む!最初は、自分がタルタルにされているような不思議な気分だったが、徐々にこのトントコの刺激が体の内部に響いているのに気付く。鍼の低周波治療で筋肉がブルブル震える感覚に近い。終わってみるとかなり気持ちよかったし、全身がほぐれていた。思い切って飛び込んでみた甲斐があった。
次に訪ねたのは、こちらも『GQ TAIWAN』推薦の「指點(Finger Talks)」。おしゃれなカフェに併設されたこちらで足裏マッサージをしてくれたのは、視覚障がいを持つ賴さん。この店は、彼らのサポートの意味合いも持つ。強すぎず、弱すぎず、的確にこちらのツボをついてくる技術はさすが。ボーダーTシャツのカジュアルな雰囲気の指圧師というのも新鮮だった。施術後には、オーガニック食材を使った軽食のサービスも。心身ともに温かくなる店だった。
2日目後半──体を整えた後に人生を占う
今回の旅でダントツの即効性を感じたのは、気功&整体の「宋元堂」のゴッドハンド、楊宗義先生。わずか10分間ほどの施術を終えて立ち上がってみると、自分の体が軽く、背中が真っ直ぐに伸びているのを感じる。ちょっと驚くほどの変化だ。さらにこのあと、楊先生のお兄様による占いにもチャレンジ。お兄様は台湾では有名な占い師ということで、これまでの人生やこれからの人生をズバズバと指摘してくる。
「あなたのピークは、70歳代から80歳代にかけてやってきます」
ピークがあまりにも遅くてへこんだが、それはお兄様の責任ではない。
この日の最後は、深夜も営業している有名店「千里行」へ。日本人観光客にも人気の大型店だが、サービスは手抜きなし。全身マッサージの26番さん、足裏専門の99番さんのテクニックは見事。生まれて初めて足裏の角質取りを体験したが、まるで果物の皮を剥くように取れていく角質に愕然。足裏マッサージでは、こちらが声をあげて痛がると、26番さんが嬉しそうにしていたのが印象的だった。
4軒で揉まれ疲れた夜、地元の人の案内で夜市へ。屋台でスッポンと蛇のスープを飲んだら、すっかり元気回復。量はたっぷりなのに、日本円で数百円程度。安くて美味くて体にいい。さすが台湾だ。
3日目──世界遺産級の耳かきを体験!
王様のような気分でマッサージを受けたいなら、「M ONE SPA」がオススメだ。ロビーや施術室は、まるでホテルのような豪華さ。ラグジュアリーな雰囲気は、今回訪ねたなかでナンバー1。そしてここを訪ねたら、絶対に、なにがなんでも「耳かき」のオプションをつけるべきだ。耳かき一筋50年という耳師さんの技術は、世界遺産級。昇天モノの気持ちよさだ。足裏マッサージとのダブル攻撃では、「痛い!気持ちいい!痛い!気持ちいい!」の繰り返し。決して日本では味わうことのできない快感だ。
帰国直前に訪ねたのは、「小林髪廊」。ここは台湾全土に250店舗を構える人気のヘアサロンで、洗髪のために毎日訪れる人も多いという、まさに台湾の人々の“癒し処”。まずは足裏ゴッドハンドの鄭さんと、首肩ゴッドハンドの小筠さんに体をほぐしてもらい、座ったままでシャンプーがスタートする。このシャンプーがまるでヘッドスパ。頭皮がほぐれ、頭が軽くなる。確かに毎日通いたくなる気持ちよさだ。
頭を洗われながら、2泊3日を振り返る。マッサージはどこも高レベルで、食事も安くて美味しい。LCCなら航空券も国内線並みだ。下手な温泉旅行に行くくらいなら、いっそ台湾に行ったほうが癒される。疲れた男たちよ、いざ台湾へ!