中国とロシア 南シナ海で初の合同軍事演習

中国とロシア 南シナ海で初の合同軍事演習
中国とロシアの海軍が、12日から南シナ海では初めてとなる合同軍事演習を始めました。島の制圧や対潜水艦訓練を含む大規模なもので、国際的な仲裁裁判で南シナ海をめぐる、みずからの主張が否定された中国としては、ロシア軍との連携を誇示することでアメリカなどをけん制する狙いがあるものとみられます。
中国海軍は、12日から今月19日までロシア海軍と広東省沖の南シナ海で合同軍事演習を行うと発表していて、国営の中国中央テレビは12日午前中に広東省湛江の基地でロシア海軍を歓迎する式典が行われたと伝えました。

訓練にはミサイル駆逐艦や潜水艦など10隻以上の艦船と、早期警戒機や爆撃機のほか、上陸部隊などが参加し、島を制圧する訓練のほか、対潜水艦訓練や実弾射撃訓練を行うとしています。
中国とロシアは、4年前から毎年、海軍の合同軍事演習を行っていますが、南シナ海で行うのは初めてで、中国海軍の報道官は「これまでで最も実戦的な訓練だ」と強調しています。

国際的な仲裁裁判で、南シナ海のほぼ全域に管轄権を持つとする主張が否定された中国は、アメリカや日本が、仲裁裁判の判断を順守するよう訴えていることに強く反発しているほか、アメリカ軍が南シナ海への関与を強化することを強く警戒しています。
このため中国としては、ロシア軍との連携を誇示することで、アメリカをはじめとした関係国をけん制する狙いがあるものとみられます。

合同演習 ロシアの立場

ロシア海軍のフェドチェンコフ副司令官は「偉大な2つの国が協力することはとてもよいことだ。この地域だけでなく、実質的に、世界全体の平和を保障する」と述べ、中ロ海軍の合同軍事演習の意義を強調しました。

南シナ海の問題をめぐっては、ロシアのプーチン大統領は今月5日、G20サミットのあと、中国の杭州で行った記者会見で「介入しない。この地域と関係のない国が介入することは有害だし、生産的でない」と述べています。
一方で、プーチン大統領は、「南シナ海の問題をめぐる国際的な仲裁裁判の判断を受け入れないとする中国の立場については支持する」と述べ、中国との連帯を表明しています。

ロシアには、中国との連帯を表明することで、ウクライナ情勢で対立する欧米に対抗する姿勢を示すとともに、中国からの経済協力を引き出したい思惑もうかがえます。ただ、南シナ海の問題で、中国の主張を全面的に支持すれば、関係改善が進む日本や、ロシアの伝統的な友好国であるベトナムを刺激することにもなりかねず、今回の合同軍事演習にも慎重に臨むものとみられます。