米同時多発テロから15年 追悼式典

米同時多発テロから15年 追悼式典
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アメリカの同時多発テロ事件から11日で15年となり、ニューヨークの世界貿易センタービルの跡地では、日本人の遺族も出席して犠牲者を追悼する式典が開かれました。
15年前の2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件では、ハイジャックされた4機の旅客機がニューヨークの世界貿易センタービルや、ワシントン郊外の国防総省などに激突し、日本人24人を含む3000人近くが犠牲となりました。
崩壊した世界貿易センタービルの跡地では、11日、遺族や政府の関係者のほか、大統領選挙の候補者の民主党のクリントン氏と共和党のトランプ氏も出席して、追悼式典が開かれました。
式典には、ビルで働いていた当時34歳の長男を亡くした住山一貞さん(79)など日本人の遺族も出席し、旅客機がビルなどに激突した時間に合わせて黙とうがささげられたあと、犠牲者一人一人の名前が読み上げられました。
事件の跡地ではその後、新たな商業ビルが次々と建設され、再開発が進められてきました。
しかし、事件をきっかけに始まったアメリカ国外での軍事行動は、今も終わりが見えておらず、アメリカ国内でもイスラム過激思想の影響を受けたと見られるテロ事件が相次いでいます。
今回の大統領選挙でもテロ対策が大きな争点となっていて、アメリカは、テロの脅威に向き合い続ける重苦しい空気のなか、事件から15年の節目を迎えています。

米大統領 テロに立ち向かう決意示す

同時多発テロ事件から15年をむかえた11日、アメリカのオバマ大統領はテロに立ち向かう決意を示すとともに、「われわれの多様性はアメリカの偉大な強さであり続ける」と述べ、大統領選挙で、共和党のトランプ候補がテロ対策で移民の制限を主張するなか、多様な人種を受け入れる価値観の大切さを訴えました。
同時多発テロ事件で世界貿易センタービルに続いてハイジャックされた旅客機が衝突した首都ワシントン郊外の国防総省では11日朝、オバマ大統領やカーター国防長官らも出席して追悼式典が開かれ、遺族とともに黙とうをささげました。
このあとオバマ大統領は遺族を前に「15年は長いときだったかもしれないが、遺族にとってはきのうのことのようだ思う」と述べ、決して犠牲を忘れることはないと述べました。
そのうえで過激派組織IS=イスラミックステートなどによるテロの脅威が続いているとしたうえで「彼らは偉大なアメリカを負かすことはできない。われわれ、アメリカ国民は恐怖に屈しない」と述べ、テロに立ち向かう決意を改めて示しました。
そしてオバマ大統領は「われわれの多様性は弱さではなく、アメリカの偉大な強さとしてあり続けるだろう」と述べ、大統領選挙で共和党のトランプ候補がテロ対策として移民の入国制限を主張するなか、多様な人種を受け入れる価値観の大切さを訴えました。

クリントン候補とトランプ候補も参加

世界貿易センタービルの跡地で開かれた追悼式典には、11月の大統領選挙の候補者で、ともにニューヨークを地元とする民主党のクリントン候補と共和党のトランプ候補も参加し、犠牲者を追悼しました。
このうち、民主党のクリントン氏は、式典に合わせて、みずからのツイッターで、「われわれは決して、9月11日に起きた恐怖を忘れることはないだろう。きょうは、すべての犠牲者に対して、敬意を示すときだ」として、哀悼の意を表しました。
また共和党のトランプ氏も、声明を発表し、「15年前、アメリカは歴史上最悪のテロ攻撃を受けた。きょうはすべての犠牲者を追悼する。われわれの義務は、敵から国民を守るために一体となっていくことだ」と述べました。
両候補は、この日は選挙戦を一時、休止することで合意したということで、お互いへの批判は行わずテロの犠牲者を追悼する姿勢を強調しました。