2016-09-18

[]御所貝の興亡

 御所貝は貝と名前がついているが、軟体動物ではなく、腕足類の仲間である

 腕足類は翼型と形容される非対称の殻をもっており、

この殻で水流をコントロールすることでザコナメクジウオの死骸などの

栄養分を口元に招き寄せる。基本的に動かない生き物だ。

 水流の強さや餌にあわせて彼らの形状は最適化されており、

一種の不労収入生計を立てていた。

 まさに自然風洞実験による産物である

 御所貝と呼ばれる貝たちはその最終進化系であり、

単体ではなく群生の相互作用によって水流を高度にコントロールしていた。

互いが互いの口元に水流を呼び込むことでWIN-WIN関係を築く、

長い箸でごちそうを食べる天国みたいな関係。そうして海底の「御所」を広げる

――と言えば聞こえはいいが、現実には複雑な自然相手にしているゆえに、

位置によって得られる利益には格差があり、面倒くさい序列存在していた。

 新入りの御所貝は古参御所貝に多くの栄養提供しなければならず、次の新入りが来てやっと大きな利益が期待できる。

古参も安泰ではなく共同体への貢献が厳しく問われた。

内側奥深くに存在していても栄養はもらえないのだ。

 かくして不労所得を楽しんでいた御所貝たちは互いのコミュニケーションに消耗し、最大の利点を失った。

 地軸が容易に横転する増田アースありがちな環境の激変に対応しようにも、

自分たち関係第一に接する高コスト環境環境になってしまっていた。

 それが彼らの衰退の原因であったという。

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