シンガポール事務所撤退 来春新たな販路香港に照準 大刀洗町 [福岡県]

 大刀洗町は17日、佐賀県武雄市などと設置したシンガポールの共同事務所を来年3月で撤退することを明らかにした。町産野菜の安価な空輸手段が見つからなかったためで、より日本と近い香港への販路拡大を模索していくという。

 同日の町議会一般質問で2人の議員の質問に答えた。町は2013年10月、武雄市や鞍手町など全国6自治体・団体との共同事務所をシンガポールに設置。地場産品の売り込みや観光客誘致の拠点としてきた。

 町によると、昨年度までに地元産野菜約100キロ、地酒などの酒類約1550本を輸出。外国人観光客の誘致事業では、同国からイチゴ狩りツアーや国際協力機構(JICA)の視察など約170人を受け入れたという。

 安丸国勝町長は取材に対し「日本酒が予想以上に海外で売れるなど一定の成果もあった。シンガポールからの旅行客受け入れは続ける」と強調。「事業の縁で香港に強いコンサルティング企業と結びつきができたので、香港に照準を合わせたい」と語った。

 町は本年度、国の地方創生関連の補助金を活用して町内のイベントを広東語のフェイスブックで配信するなど、香港事業の可能性を調査中。野菜輸出など来年度以降の本格事業化を目指す。

=2016/09/18付 西日本新聞朝刊=

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