“宇宙旅行の事前訓練” ベンチャー企業が企画 名古屋
宇宙旅行とはどのようなものなのか疑似体験したい人のために、無重力体験と医学検査とを組み合わせた「宇宙旅行の事前訓練」という一般向けの新たなサービスを、名古屋市のベンチャー企業が企画し、18日、航空機を使った無重力の体験が行われました。宇宙を利用したビジネスの拡大を支援している内閣府によりますと、こうしたビジネスは、国内では初めてではないかということです。
「宇宙旅行の事前訓練」は、次世代の宇宙輸送機の開発などを進めている名古屋市のベンチャー企業、「PDエアロスペース」が一般向けに初めて企画したもので、訓練には合わせて4人が参加しました。
4人は、愛知県の県営名古屋空港に設けられた会場で搭乗服に着替え、まず、無重力状態の訓練に臨むための体調検査や心理検査を受けました。そして、小型ジェット機に搭乗して日本海の上空に移動し、高度9000メートル付近で、エンジンの出力を最小限にした際におよそ20秒間、発生する無重力の状態を合わせて7回体験しました。無重力の体験中には、ボードに文字を書いたり、カメラで撮影したりする訓練も行われました。
今回の事前訓練は、17日と18日の2日間の日程で行われ、17日は、名古屋市内の医療機関で、宇宙飛行に臨んでも問題がないか健康状態を調べるメディカルチェックが行われました。今回のメディカルチェックは、国際宇宙ステーションに滞在する人の検査項目をもとにJAXA=宇宙航空研究開発機構や岡山大学などからアドバイスを受けて行われ、参加者は、心肺機能や平衡感覚など54の項目について検査を受けました。
今回の「事前訓練」の価格はおよそ95万円で、宇宙を利用したビジネスの拡大を支援している内閣府によりますと、将来の宇宙旅行に備えて無重力の体験と医学検査が受けられるこうしたビジネスは、国内では初めてではないかということです。
企画したベンチャー企業の社長の緒川修治さんは、国の宇宙政策委員会で次世代の宇宙輸送システムを検討する部会の委員を務めたこともあります。緒川さんは、「家族で宇宙旅行ができる新しい乗り物を作りたい」と、宇宙空間まで数十万円で乗ることができる航空機のような形をした新たな宇宙輸送機の開発を目指していて、今回の「事前訓練」サービスは、そうした本格的な宇宙旅行時代につなげる第一歩としたいとしています。緒川さんは、「宇宙旅行を身近なものとすることに向けて、ものすごく長い道のりだがほんの少し一歩を踏み出せたと思う。宇宙旅行の実現に向けて4か月に1回くらいのペースで定期的に繰り返していきたい」と話しています。
4人は、愛知県の県営名古屋空港に設けられた会場で搭乗服に着替え、まず、無重力状態の訓練に臨むための体調検査や心理検査を受けました。そして、小型ジェット機に搭乗して日本海の上空に移動し、高度9000メートル付近で、エンジンの出力を最小限にした際におよそ20秒間、発生する無重力の状態を合わせて7回体験しました。無重力の体験中には、ボードに文字を書いたり、カメラで撮影したりする訓練も行われました。
今回の事前訓練は、17日と18日の2日間の日程で行われ、17日は、名古屋市内の医療機関で、宇宙飛行に臨んでも問題がないか健康状態を調べるメディカルチェックが行われました。今回のメディカルチェックは、国際宇宙ステーションに滞在する人の検査項目をもとにJAXA=宇宙航空研究開発機構や岡山大学などからアドバイスを受けて行われ、参加者は、心肺機能や平衡感覚など54の項目について検査を受けました。
今回の「事前訓練」の価格はおよそ95万円で、宇宙を利用したビジネスの拡大を支援している内閣府によりますと、将来の宇宙旅行に備えて無重力の体験と医学検査が受けられるこうしたビジネスは、国内では初めてではないかということです。
企画したベンチャー企業の社長の緒川修治さんは、国の宇宙政策委員会で次世代の宇宙輸送システムを検討する部会の委員を務めたこともあります。緒川さんは、「家族で宇宙旅行ができる新しい乗り物を作りたい」と、宇宙空間まで数十万円で乗ることができる航空機のような形をした新たな宇宙輸送機の開発を目指していて、今回の「事前訓練」サービスは、そうした本格的な宇宙旅行時代につなげる第一歩としたいとしています。緒川さんは、「宇宙旅行を身近なものとすることに向けて、ものすごく長い道のりだがほんの少し一歩を踏み出せたと思う。宇宙旅行の実現に向けて4か月に1回くらいのペースで定期的に繰り返していきたい」と話しています。
無重力状態をどう作る
事前訓練では、小型ジェット機を高度9000メートル付近まで上昇させて、エンジンの出力を最小限にし、急降下させることで、無重力に近い状態を作り出しています。フライトでは、高度6500メートル付近からエンジン全開で一気に高度9000メートル付近まで上昇させます。上昇の途中、高度8000メートル付近に達したところで、エンジンの出力を最小限にしぼります。すると、小型ジェット機は、ほぼ重力の影響だけを受けながら、高度9000メートル付近まで上昇してその後、下降を始めるという、放物線を描くようなコースで飛行します。この間、小型ジェット機の内部では、重力の影響を受けなくなり、およそ20秒間、無重力状態になります。
旅行代理店社員も参加
事前訓練に参加した人の中には、東京の大手旅行代理店の社員もいます。
東京の新宿駅近くにある大手旅行代理店の営業所に勤務する国松健治さん(39)は、社内で唯一、「宇宙事業担当」の肩書をもっています。「誰もが宇宙旅行できる時代が、すぐ目の前まで迫っている」と考えて、社内でみずから志願し、宇宙旅行の事業化に向けて、具体的に何ができるか検討を進めています。国松さんは、子どもの頃に読んだ「宇宙戦艦ヤマト」など宇宙を舞台にした漫画や、アメリカのスペースシャトルの打ち上げを見て、宇宙への憧れを抱くようになりました。最近は、宇宙に関連して、どのようなビジネスを起こせる可能性があるのか情報収集に努めているということです。国松さんは、今回、名古屋市の企業が「宇宙旅行」に関連したビジネスを企画したことを受けて、「まずは身をもって体験したい」と、およそ95万円の参加費を自費で支払い、休暇を利用して参加しました。気分を高めようと訓練用の服も手作りで準備しました。2日間の日程を終えた国松さんは、「生まれて初めての経験で、脳がついていきませんでしたが、身体の制御も難しくとにかく驚きでした。事前のメディカルチェックで、特に平衡感覚を確認する重要性がよくわかりました」と感想を述べました。そのうえで、「宇宙旅行が身近になる時代は、必ず来ると思います。今回、費用を自費で負担することの重みも実感できたので、旅行会社に勤める人間として、できるだけ費用負担の少ない形で、宇宙旅行を多くの人に楽しんでもらえるよう取り組んでいきたい」と話していました。
東京の新宿駅近くにある大手旅行代理店の営業所に勤務する国松健治さん(39)は、社内で唯一、「宇宙事業担当」の肩書をもっています。「誰もが宇宙旅行できる時代が、すぐ目の前まで迫っている」と考えて、社内でみずから志願し、宇宙旅行の事業化に向けて、具体的に何ができるか検討を進めています。国松さんは、子どもの頃に読んだ「宇宙戦艦ヤマト」など宇宙を舞台にした漫画や、アメリカのスペースシャトルの打ち上げを見て、宇宙への憧れを抱くようになりました。最近は、宇宙に関連して、どのようなビジネスを起こせる可能性があるのか情報収集に努めているということです。国松さんは、今回、名古屋市の企業が「宇宙旅行」に関連したビジネスを企画したことを受けて、「まずは身をもって体験したい」と、およそ95万円の参加費を自費で支払い、休暇を利用して参加しました。気分を高めようと訓練用の服も手作りで準備しました。2日間の日程を終えた国松さんは、「生まれて初めての経験で、脳がついていきませんでしたが、身体の制御も難しくとにかく驚きでした。事前のメディカルチェックで、特に平衡感覚を確認する重要性がよくわかりました」と感想を述べました。そのうえで、「宇宙旅行が身近になる時代は、必ず来ると思います。今回、費用を自費で負担することの重みも実感できたので、旅行会社に勤める人間として、できるだけ費用負担の少ない形で、宇宙旅行を多くの人に楽しんでもらえるよう取り組んでいきたい」と話していました。
国は民間参入を歓迎
国は、新たな宇宙産業を生み出そうという今回のようなベンチャー企業の挑戦を歓迎しています。
宇宙分野への民間企業の参入が進んでいるアメリカは、宇宙関連機器の市場規模がこの10年間で1.4倍余りに拡大し、日本円でおよそ5兆円に達しています。一方、日本は、宇宙関連機器の市場規模はこの10年、ほとんど伸びず、アメリカの20分の1の、およそ2500億円にとどまっています。また、日本の市場のおよそ90%は政府の需要で、民間の市場はまだまだ小さいものとなっています。このため政府は、去年、決定した「宇宙基本計画」で、宇宙分野への民間企業の参入を積極的に支援し、今後10年間で、市場規模を、いまの2倍にする目標を掲げています。こうした中、内閣府は、ことし3月、宇宙ビジネスへの参入や拡大を目指す企業どうしの出会いの場として、「スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク」を設立し、これまでに600余りの企業や個人が参加しています。
宇宙分野への民間企業の参入が進んでいるアメリカは、宇宙関連機器の市場規模がこの10年間で1.4倍余りに拡大し、日本円でおよそ5兆円に達しています。一方、日本は、宇宙関連機器の市場規模はこの10年、ほとんど伸びず、アメリカの20分の1の、およそ2500億円にとどまっています。また、日本の市場のおよそ90%は政府の需要で、民間の市場はまだまだ小さいものとなっています。このため政府は、去年、決定した「宇宙基本計画」で、宇宙分野への民間企業の参入を積極的に支援し、今後10年間で、市場規模を、いまの2倍にする目標を掲げています。こうした中、内閣府は、ことし3月、宇宙ビジネスへの参入や拡大を目指す企業どうしの出会いの場として、「スペース・ニューエコノミー創造ネットワーク」を設立し、これまでに600余りの企業や個人が参加しています。