何もない日曜日、暇潰しに成田空港のレストランでカツカレーを食べていた。窓の外には飛行機が空から次々と舞い降りてくる。カラフルなデザインをしたジャンボジェット機たち。
タラップからぞろぞろと降りてくる乗客たちはまるでレミングスのように疲れきった顔で歩く。きっと決められたそれぞれの家路に向かって電車に乗ってスーツケースをころがしながら。
今頃ジャンボジェット機の中は掃除係たちが新聞やポップコーンやプレッツェルや機内食などをひとまとめにしてごみ袋に投げ込んでキャビンアテンダントに軽口を叩いているのだろう。
カツカレーを食べていた相棒のケツ叩くと二人分の会計をした。相棒は台湾に行きたいと言う。僕はリュックサックからパンストを出して被り台湾エアラインに乗り込んで機長に言った。
「悪いけどハイジャックする。台湾に戻ってくれないか」機長は僕と相棒の顔を交互に見て管制塔にSOS して言った。
もしハイジャックするのなら、人質とガソリンがたくさんつまった時にすべきだな。
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