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 東京都の築地市場(中央区)から移る予定の豊洲市場(江東区)で、主な建物下に土壌汚染対策の盛り土がない問題で、都の前副知事が「地下に空間があることを昨年ごろ初めて知らされた。きちんと(市場の関係者らに)説明されていると思っていた」と朝日新聞の取材に話した。都庁中枢まで正しく情報共有されてこなかった実態を示すもので、問題に関する調査の焦点にもなっている。

 取材に応じたのは、2013年10月に市場担当の副知事に就き、今年6月に退任した前田信弘氏。豊洲市場の地下空間について「建設がだいぶ進み、開場の準備も始まっていた昨年ごろ、地下部分の存在を初めて聞いた」と明かした。前任者からの引き継ぎはなく、任期途中で初めて聞く話で、少し驚いたという。

 豊洲市場の建設が有識者による「専門家会議」や「技術会議」の提言を受けて進められた経緯を念頭に、「専門家の確認はとってあるのか」と市場担当の部下に聞いたところ、「はい」と回答があったため「それなら問題ない」と判断したという。

 前田氏は「今思えば、どの時点での『専門家の確認』かなど、しっかり詰めるべきだった」と話す。都が、地下空間の情報をこれまで公表しなかったことについては、「隠すような話との認識はなく、当然、きちんと説明されているものだと思っていた」と述べた。「市場関係者にもきちんと説明できていないのは大きな問題」と認めた。

 盛り土がされなかった経緯については「(11年に)市場の基本設計を担当した者でないと正確な説明はできない」と繰り返した。

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