タワーレコード新宿店の7階にある、アニメ専門店『TOWERanime(タワーアニメ)』をご存知でしょうか?
アニメ関連のCDやDVDを中心に、マンガ、雑誌、関連グッズを取り扱うショップインショップ!
60枚以上のアニソンCDが試聴でき、人気アニメや声優とのコラボも積極的に行っている、新宿きってのアニメスポットです。
そんな『TOWERanime』で働く樋口翔さんに、お店の売上とは一切関係ない「個人的ベスト・オブ・アニソン」を聞いてみました!
<樋口 翔さん(33)>
タワーレコード新宿店内『TOWERanime新宿』の店舗スタッフ。
洋楽邦楽問わず様々なジャンルのフロアを経験し、現在はアニメ担当。
最近はテレビゲームの『ギルティギア』にハマっている。
樋口さんが選ぶ“至高のアニソン”
①RWBY/RWBY Volume1 Original Soundtrack VOCAL ALBUM
②霜月凛(cv:水原薫)/ひなビタ♪ Five Drops 05 -bergamot mint- 霜月凛
③TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND/TRINITY SEVEN : MAGUS MUSIC ARCHIVE
④V.A/TVアニメ「フォトカノ」キャラクターソングアルバム THROUGH THE CAMERA
⑤リコッタ/THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY 05
①RWBY/RWBY Volume1 Original Soundtrack VOCAL ALBUM
北米の3DCGアニメ『RWBY(ルビー)』のサウンドトラックです。
去年、ワーナー・ホーム・ビデオからローカライズされて、日本の劇場で2週間だけ公開された、知る人ぞ知るアニメです。(現在はVol.1のDVD/Blu-rayが発売されています)
アニメも最高なんですが、なによりこのオープニング曲や挿入歌がかっこよすぎるんですよ!
収録されている楽曲は、全てジェフ・ウィリアムズというアーティストが手がけています。
ロックサウンドと女性ボーカルを混ぜたスタイリッシュな楽曲で、洋楽エモを聴く人、特にパラモア(米の人気ロックバンド)の『RIOT!』辺りを聴いていた人はスムーズに入り込んでいただけると思います。
登場するキャラクターを意識した曲もあって、例えば元傭兵組織にいたキャラの曲はブレイクビーツを使っていたり……。
TOWERanimeだけじゃなく、洋楽フロアでも売れるくらいのパワフルなバンド・サウンドを聞かせてくれます。
曲も編曲もボーカルも総じてレベルが高くて、バイヤーとしてもファンとしても推したい一枚です。
アニソンって、日本の知らないところで想像もしない進化を遂げていたんだなと、しみじみと感じます。
②霜月凛(cv:水原薫)/ひなビタ♪ Five Drops 05 -bergamot mint- 霜月凛
音楽ゲームの先駆者コナミが作ったキャラクターコンテンツ『ひなビタ♪』のキャラ、霜月凛ちゃんのソロアルバムです。
このアルバムは個人的に2016年度のベスト・オブ・アニソンだと思っています!
キャラクターコンテンツというと、元となるキャラがいて、劇中のそのキャラ設定にあった楽曲を後から作るというのが一般的です。
しかし「ひなビタ♪」は、架空のひなびた街をまちおこしするために、女子高生がバンド活動を行うという設定で、キャラ自身が曲を作り出すという今までとはちょっと違うキャラクターコンテンツです!
中でも、ギターの霜月凛ちゃんは、ちょっと闇を抱えた一匹狼系のキャラで、オルタナやシューゲイザー、エモなどの音楽を好む女の子。
そんな彼女の音楽的背景を汲んで作られた曲は、ロック好きの僕にぐさりと刺さりました。
また、ひなビタ♪のFacebookでは「今日はこういうことがあったから、こんな曲を作りたい」とか「マクロスが好きだからこんな曲作ってみた」など、まるで実在しているかのようにキャラがつぶやくんです。
そういったつぶやきを見ながら、どういう思いでこの曲が作られたのか噛みしめて聴くとまた違った楽しみ方ができます!
新宿店で流すと「この曲なんですか?」って聞かれることがありますが、大半はアニメ好きではなくロック好きの方です。
そういう点でも、幅広い層の方にハマっていただける一枚なんじゃないかと思います。
③TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND/TRINITY SEVEN : MAGUS MUSIC ARCHIVE
2014年に放送していた『トリニティセブン』のテレビアニメシリーズのサウンドトラックです。
推すポイントとしては、おそ松さんを筆頭に多くのアニソンを手掛けるテクノボーイズが劇伴をやっていること!
ハリウッドのSFやアクションに匹敵するくらいの壮大なサウンドに、アニメキャラの声のコラージュが効いています。
全体を通して聞くとポップなんですが、ところどころにテクノボーイズのダークな面を感じることができ、彼らのアーティスト性の深みにたどり着ける一枚です。
サントラとしても、テクノボーイズの作品としても楽しめます。
ディスク2枚組なんですが、1枚20曲ずつ入っていて全40曲というボリュームもかなり壮大。
個人的に、2014年のベスト・オブ・サントラです!
④V.A/TVアニメ「フォトカノ」キャラクターソングアルバム THROUGH THE CAMERA
PlayStation®Vitaで発売されていた恋愛シミュレーションゲーム『フォトカノ』のテレビアニメ版キャラクターソングです。
選んだ理由としては、単純にこのアニメが好きだから(笑)音楽的見地とかを無視して好きな一枚を選びました。
これは先ほど紹介した細かな設定があるサントラとは違い、シンプルな由緒正しきキャラソンで、70年代80年代のアイドルを想起させるような曲が詰まっています。
「キャラソンってなんだろう」って立ち返る時に、一番熱を持って伝えられるのがこれです!
例えば、カメラ好きなキャラの曲には、カメラのシャッター音が入っていたり、物静かなキャラはバラードで表現したり。
とにかく実直に、キャラをそのまま投影していて「これこれ、これが欲しいんだよ」っていうものがストレートに入ってきます。みんなが松たか子さんの『明日、春が来たら』を聴いて安心するのと同じ感じです(笑)
最近のキャラソンは進化を遂げて、ダブステップやEDMを取り入れているものも多いんですが、原点に戻りたいって時はこれを聴きますね!
⑤リコッタ/THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY 05
人気のアイドルマスターですが、ファンの方も追いつけないほどとにかくリリースが多いんです。
そんな数多いCDの中でも、一押しなのがミリオンライブ!の『THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY 05』です。
松田亜利沙ちゃんというキャラが好きで、その子が参加しているという思い入れもあるんですが、曲もかなり良いんです!
アイドルマスターの楽曲は、長い間バンダイナムコ内部の音楽チームが担当していましたが、ミリオンライブ!が発足した時にそれをランティスが担当することになったんです。
制作がランティスに移ったことで、外部のアーティストを制作に迎えるようになり、高田暁さんやヒャダインさんなどを起用することで、曲のジャンルに幅を持たせることに成功しています!
外部の人の音楽性と、キャラクター性をうまくマッチングさせていて、キャラソンとJ-POPの絶妙なバランスが良いんですよね。
ゲームありきではなく、曲でも勝負できると感じさせてくれます。
豊富な知識とわかりやすい説明で魅力を語ってくれた樋口さん。
アニメ好きでなければ足を踏み入れにくいアニソンですが、意外にも曲から入ってアニメファンになる方も多く、樋口さんも「そのアニメを知らなくてもアニソンは楽しめる」と教えてくれました!
ロックやダブステップなど、一口にアニソンといっても様々なジャンルを楽しむことができることに驚きました。
アニソンって、知らない間にこんなに進化していたんだな〜。
まずはこの5枚から聴いてみようっと。