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人件費、食材価格が高止まり

円高で牛丼業界に追い風 「吉野家」一人負けのワケ

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(写真=PIXTA)

各企業が神経をとがらせる為替相場は、2015年1ドル120円台の水準から、2016年8月には、1ドル=100円を割るまで円高が進んだ。足元では、米連邦準備制度理事会(FRB)が近く利上げに踏み切るのではという観測から、円が売られる局面があるが、それでも100円台前半の相場で推移している。

輸入企業にとっては、円高は材料価格が抑えられ業績へのプラス効果が期待できる。特にアメリカ産の牛肉に頼る牛丼チェーンにとっては、円高が業績改善への追い風となる。牛丼御三家と呼ばれる「吉野家」「すき屋」「松屋」の状況はどのようになっているのか、各社の現在を探ってみよう。

2016年8月は「吉野家の一人負け」

9月に入り、御三家の夏の闘いとなった8月の売り上げデータがそろった。それによると、松屋フーズ <9887> が展開する「松屋」などは前年同月比で売上高が3.7%増、ゼンショーホールディングス <7550> が運営する「すき家」は同1.8%増となった。一方、吉野家 <9861> は、同13.1%減の大幅なマイナスとなり一人負けの結果だった。

時系列をさかのぼってみていくと、2015年3月期の決算では、アベノミクスによる波及効果で、賃金の上昇などが見られた一方、円安による原材料価格の高騰、人件費の上昇などで、牛丼チェーンは苦難の時を迎えていた。

ゼンショーは、売り上げが前年比で2ケタ近く伸びたにも関わらず、最終損益は前年同期比の11億円の黒字から111億3800万円の赤字に転落し、大幅な業績ダウンを記録。松屋フーズも、売り上げは前年同期比でアップしたものの、純利益は同6.4%減の6億4500万円まで落ち込んだ。

御三家の2社が厳しい経営にさらされる一方、吉野家(2月期決算)は、同じく原材料高に苦しんだものの、商品価格の見直しや新商品の導入に取り組み、純利益が同34.8%増の9億4100万円を確保し、苦境を乗り切った。

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