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<隠しカメラ>「撮影行為は犯罪ではない」 大分県警本部長

毎日新聞 9月17日(土)15時1分配信

 参院選の公示前後に、大分県警別府署が別府地区労働福祉会館(別府市)の敷地に隠しカメラを仕掛けた事件で、松坂規生・県警本部長は16日、県議会の一般質問に答え、「別府署による撮影行為は犯罪ではない」と述べたほか、第三者による再発防止策は検討しない考えを表明した。

【写真】隠しカメラが設置された別府地区労働福祉会館

 第2会派の県民クラブ、小嶋秀行県議(民進)への答弁。建造物侵入罪などで警察官6人が処分されたことを踏まえ、小嶋県議は「盗撮は犯罪ではないのか」と質問。松坂本部長は「盗撮について罰則を設けている県条例は、公共の場所での卑わいな行為を禁止するもので、別府署の行為は該当しない」と答えた。

 また、第三者を交えて再発防止策を検討すべきだとの指摘には「公安委員の指導に従って捜査を進め、処分などを行った。十分に第三者的な意見を反映している」とした。

 一般質問後の質疑で共産の堤栄三県議は「プライバシー侵害を平然とやっている。憲法違反ではないか」と指摘。松坂本部長は「カメラ設置の必要性、相当性はなかった」と従来の説明を繰り返すにとどまった。

 小嶋氏は記者団に「無断で敷地に侵入し、不特定多数の出入りを盗撮した行為は明らかに犯罪だ」などと憤った。一方、松坂本部長は「質問に対しては真摯(しんし)に回答した」と述べた。

 連合大分はこの日の執行委員会で、連合の公開質問状に対する県警の回答について見解をまとめ、県警に提出することを決めた。

 連合大分の佐藤寛人会長は「労働組合では選挙違反が行われるのではという予断や偏見があるのではないか」と語った。【西嶋正法、田畠広景】

 ◇大分市議会 真相究明を求める意見書

 大分市議会は16日の本会議で、別府署の隠しカメラ事件に関連し、県公安委員会に真相究明を求める意見書を全会一致で可決した。

 意見書は、労働団体が入居し、一般の人も出入りする施設に向けられた隠しカメラについて「入居団体や多くの市民に不安を感じさせる。これらの活動監視は絶対に許されない」と強調。「憲法に保障された選挙活動に対する妨害、労働団体に対する干渉だけでなく、肖像権・プライバシーの侵害として看過できない」と厳しく批判した。さらに、県警の説明では真相が明らかでないとし、県公安委に対して徹底した真相究明と再発防止を求めている。

 市議会最大の自民党会派の阿部剛四郎団長は「目的が何だったのか疑問が残る。二度とないように真相究明を求めたい」。意見書を提案した社民クラブの指原健一団長は「民主主義の根幹に関わる事態。県警から納得のいく説明はなく、公的な立場である県公安委員会に解明してほしい」と述べた。【池内敬芳】

最終更新:9月17日(土)15時3分

毎日新聞