パナソニック 自動運転の試験車両を自社で製造

パナソニック 自動運転の試験車両を自社で製造
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世界的に自動運転車の開発が加速する中、大手電機メーカーの「パナソニック」が自動運転の試験車両を自社で製造し、車に搭載する特殊なカメラなどの開発を進めていることがわかりました。
パナソニックが初めて自社で製造した自動運転車は2人乗りの小型車で、5台のカメラなどで周りを確認し、自動で走行します。
会社ではテストコースを新たに整備し、実際に走らせながらカメラが周囲の状況を正確に認識しているかやその情報をもとにハンドルやブレーキなどが的確に操作されているかをチェックしています。
こうしたテスト走行を重ねて、自動運転車の目となる特殊なカメラや、ハンドルなどを自動で操作するソフトウエア、車に搭載するタッチパネルなどの開発を進めています。

自動運転車の開発は世界的に加速し、今後、市場の拡大が見込めることから、会社では、すでに実用化しているブレーキを制御するセンサーなども含めた関連事業の売り上げを、今後2年で、今の1.5倍以上の6000億円に拡大する方針です。

パナソニックオートモーティブ事業開発センターの茨木晋所長は「自動運転は大きなチャンスで、自分たちで車を作り走行テストを重ねることで部品やシステムの開発を急ぎたい」と話していました。

大手電機メーカーにとって自動運転は新たな成長分野として期待され、日立製作所や三菱電機などもカメラやセンサーなど関連事業の強化に動いています。

自動車関連事業は既存の技術を生かせる分野

パナソニックは、事業の柱である家電部門が厳しい競争にさらされるなか、自動運転など自動車関連事業はこれまで培ってきた技術を生かせる新たな成長分野として力を入れています。

このうち、自動運転車の「目」となる特殊なカメラの開発では、テレビや防犯カメラですでに実用化している技術を活用できると考えています。具体的には雨や霧、雪など視界が悪い中でもとらえた画像から人や車などを正確に見極める画像処理の技術です。
また、今後、車どうしがネットでつながっていった場合、携帯電話の開発で培った通信のセキュリティー技術も生かせると考えています。

パナソニックでは各部門の技術力を結集して自動運転など自動車関連事業を推進しようと、去年10月にテレビや携帯電話、電気自転車などのメンバーからなる横断的なプロジェクトチームを設置しました。
今後、プロのドライバーの運転技能を備えたAI=人工知能の開発を進めるなど、自動運転向けの製品開発を加速していくことにしています。

自動運転車の開発は世界的に加速

自動運転車の開発はいま、世界的に加速しています。
日本は、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、富士重工業。ドイツはメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ。アメリカはGM=ゼネラル・モーターズ、フォードといった、世界の名だたる大手自動車メーカーが開発にしのぎを削っています。
これに加えて、アメリカのテスラモーターズ、さらには、IT業界からグーグルも参入し、開発競争は国境、そして業界を越えて激化しています。

背景には、自動運転をめぐる市場が今後、大きく拡大するという見通しがあります。
アメリカのコンサルティング会社は、無人運転も可能な完全な自動運転車と自動で車線変更するなど、部分的な自動運転機能を備えた車は2035年には新車の4台に1台、およそ3000万台に急増すると予測しています。

こうした中、日本では自動車業界にとどまらず、大手電機メーカーがこれまで培ってきた技術を生かして新たなビジネスチャンスをつかもうと、車載用の特殊なカメラやセンサーなど自動運転の関連事業の強化に相次いで動きだしています。