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河村市長の懸念、知事動かす アジア大会、共催復帰

会談を終え、記者の質問に答える大村知事(左)と河村市長(右)=名古屋市役所で

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 名古屋市が白紙撤回を決めた5日から10日余。「2026年アジア競技大会」の誘致は16日、市が共催に復帰することで事実上、決着した。両者の駆け引きや見立ての違いから始まったドタバタに終止符を打ったのは、大村秀章知事と河村たかし市長のトップ会談だった。

 十日間のアジア歴訪を終え、知事が中部国際空港(常滑市)に到着したのは十六日午前八時五十二分だった。十一時前には公館に戻り、すぐ、報道陣に囲まれた。アジア大会の招致は、知事の不在で表面的には、市側との協議がストップしていたからだ。

 知事は「いい方向にいくのではないかと思っている」と手応えをにじませた。

 名古屋市の提案は、開催経費は総額八百五十億円、負担割合は「県二・市一」。アジア歴訪前の六日、全面的にのむことを伝えたが、それでも市は、共催復帰になお慎重。

 東京五輪を引き合いに、経費高騰への懸念を繰り返す河村市長。「納税者ファースト。税金の負担が膨らまんように、宣言してやらないかん」。公費負担に「上限」を設けるよう訴えた。

 歴訪中も、知事は、アジア各国首脳らとの会談の合間などに、部下や関係者に国際電話をかけまくる。市長の発言、意向を重視することで、水面下の議論は進んでいた。

 長い渡航の疲れも見せず、駐日イラン大使との会食や労組大会の来賓出席を慌ただしくこなし、知事は午後三時半、自分から市長室を訪れる。

 トップ会談は三十分ほど。報道陣に「大枠で固まった」と知事。「上限を設けたいという河村さんの発言はわれわれも是としたい。私が思っていること、方向性、ベクトルは河村さんと一致している」と続けた。

 河村市長も「大筋で合意した」。スッキリした表情で「普通は、県の偉い様だから『ははぁー』となるが、そんなことはないよと。納税者に納得してもらうことが一番大事。言うことは言わないかん」と胸を張った。

 同じころ、議会側も動いた。二人が会談を始めた同時刻、県市双方の正副議長や自民、民進、公明三会派の団長が県議会議事堂の一室に集まった。

 ぎくしゃくした県と市の関係を念頭に、自民県議団の中野治美団長が最後を締めくくった。

 「一枚岩となって誘致を目指し、誘致が決まったら大会成功に向けて手を携えよう」

 (豊田雄二郎、奥田哲平、今村太郎)

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