福島 富岡町 住民の帰還に備えた「準備宿泊」始まる

福島 富岡町 住民の帰還に備えた「準備宿泊」始まる
東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響により全域に避難指示が出されている福島県富岡町で、住民が帰還に備えて町内に宿泊できるようにする「準備宿泊」が17日から始まりました。
1万3000人余りのすべての住民が避難生活を余儀なくされている富岡町は、比較的、放射線量が高い帰還困難区域を除いた地域について、来年4月の避難指示解除を目指しています。
町内では、これまでお盆などの時期以外、宿泊が認められていませんでしたが、17日から住民が自宅の片づけなど帰還の準備を進めるために宿泊できるようにする「準備宿泊」が始まりました。
17日朝、住民は町役場で宿泊の受付をし、滞在中の放射線量を測る線量計を受け取ると、自宅などへ向かっていました。

町によりますと、16日までに準備宿泊の事前登録を済ませているのは全体の1%ほどの56世帯、119人にとどまっているということです。
背景には医療や買い物などの生活基盤が十分に整っていないことへの不安があると見られていて、町は町立診療所をオープンさせたり食料品の移動販売を行ったりして、不安の解消に努めることにしています。
避難先の福島県いわき市から戻り、17日から2日間、宿泊するという猪狩憲一さん(47)は「家を建て直すための片付けで、準備宿泊をすることにしました。先が見えず気持ちが落ち着きませんが、地元で落ち着いて生活できるよう一歩一歩前に進んでいきたい」と話していました。