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両さん、さよなら 「こち亀」連載40年で幕

発売日を迎え、店頭に並べられた漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の最終回が掲載された週刊少年ジャンプ(左)とコミックス第200巻=17日正午、名古屋市中区の三洋堂書店上前津店で(榎戸直紀撮影)

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 一九七六年九月に始まった秋本治さん(63)の人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(こち亀)の最終回を載せた「週刊少年ジャンプ」とコミックス第二百巻(いずれも集英社)が十七日、発売された。四十年にわたって休みなく続いた連載の完結。書店やコンビニに足を運んだファンらは別れを惜しんだ。

◆書店に朝からファン

 こち亀は、東京の下町の派出所に勤める警察官・両津勘吉(両さん)が主人公のギャグ漫画。人情味あふれる両さんの型破りなキャラクターと、世相を盛り込んだストーリーなどが人気を集めた。今月三日、秋本さんが連載の終了を発表。コミックスの国内での累計発行部数は一億五千万部以上で、十二日には「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定された。

 十七日は早朝から、全国の書店に問い合わせが相次ぎ、ファンらがジャンプやコミックスを買い求めた。

 名古屋市中区のジュンク堂書店ロフト名古屋店ではコーナーを特設。午前十時半の開店から三十分ほどで、用意したジャンプの四割、コミックスの三割ほどが売れた。店員の高木美穂子さん(34)は「こち亀は永遠に終わらないと思っていたんですが…」と話した。

 こち亀を読んで東京の下町を訪ねたこともある中区の会社員五井基喜さん(41)は「子どものころから読んでいただけに、連載終了を知った時は信じられなかった」と、コミックスの最終巻を購入。ジャンプもコミックスも買った同市南区の会社員山村利幸さん(49)は「毎回おもしろかったので、ジャンプではまずこち亀を読んだ。惜しまれつつ終わるので、いい引き際では」と話した。

「こち亀」が最終回を迎え、JR亀有駅に設置された横断幕=17日午前、東京都葛飾区で(平野皓士朗撮影)

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◆ねぎらう地元・亀有

 作品の舞台となった東京都葛飾区亀有で最大級の書店「ブックスキデイランド亀有店」は、店舗入り口にこち亀の特設コーナーを設置。最終回が載ったジャンプと単行本全巻、秋本治さんが著した新書などをそろえ、くす玉やポップ広告で飾り付けた。宇治川喜代和店長(58)は「いつ読んでもおもしろいという安心感があった。連載終了は残念だが、地元の書店として節目を盛り上げたい」と話した。

 葛飾区や亀有地区商店街協議会は連載終了に合わせ、JR亀有駅南口など三カ所に横断幕や懸垂幕を掲げた。「秋本治先生 連載40年間お疲れ様でした!」などと記し、亀有出身の秋本さんに感謝をささげている。十月末まで設置される。

◆「両さんに有給休暇を」 秋本さんがメッセージ

 「両さんが四十年間休まず勤務したので、有給休暇を与え、休ませてあげようと思います」

 「こち亀」作者の秋本治さんは、最終回が載った週刊少年ジャンプにメッセージを寄せた。描き続けた主人公の両さんを「悪友のような存在」と表現。連載終了については「あまりにも長期の作品なので、終了してもその物語は自分の中の時間軸ではまだ動き続けているみたい」との心中を吐露した。

 メッセージは同時発売のコミックスにも。「二十三歳から連載を始めて、最終回には六十三歳。まさに『亀』に乗って竜宮城へ行った浦島太郎のよう」とつづり「楽しいことしか思い出せません」と振り返っている。

 

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