宮坂麻子
2016年9月16日03時00分
戦前、東京外国語学校(現・東京外国語大)に、世界水準の「音声学実験室」が存在した。その実験室で、五十音などを発音する時の口やのどの形をX線撮影し、その写真をガラス板に描いた「口腔図」89枚が、英国のロンドン大学で見つかった。世界的にも貴重なこの資料が80年以上を過ぎて20日、東京外国語大(府中市)に「帰還」する。
見つかったのは、日本語の五十音や、英語の母音子音などを発音する際の、口とのどの形を1音ずつ描いた、ガラス板89枚。舌の位置などが、音声学の研究資料となる。2008年ごろ、ロンドン大の音声学研究室の引っ越しに伴い、整理をしていたマイケル・アシュビー同大教授が戸棚から発見した。
アシュビー教授らが調べたところ、東京外国語学校音声学実験室の責任者で、音声学の権威とされる故・千葉勉さんが残した印刷物の口腔図と同一の図であることが判明。東京麴町区竹平町にあった校舎に実験室を開設した1929年から5年ぐらいの間に、X線撮影され、形をガラス板に写して、研究発表のスライド資料などにしたものと、推測されるという。
千葉さんは、東京帝国大学文学…
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