唐十郎「状況劇場」で異彩 怪優・大久保鷹の“破天荒”人生
新宿西口公園の無届け公演ではジュラルミン盾を持つ200人の機動隊に取り囲まれたり、上野不忍公園の水中からタンスを背中にくくりつけて登場したり、破天荒なエピソードは枚挙にいとまがない。
しかし、76年、置き手紙を残して突然退団する。
「72年から74年にかけ、韓国のソウル、バングラデシュのダッカ、パレスチナの難民キャンプと世界の火種ともいうべき場所で公演を敢行したことで、燃え尽き症候群に陥ったのかもしれません」
芝居から足を洗った鷹さんは、長兄のツテで横浜の仮設足場建設会社の専務におさまった。
「実家は新潟で代々の大地主だったんです。その社長は父親の“小作人”だった方で、ボクはいきなり専務待遇。仕事は現場監督ですが、それなりの格好づけが必要だとベンツに乗ってました」