【コラム】海外就職は「地獄朝鮮」脱出の特効薬ではない

 慣れない環境、言葉の壁、孤独感。これらを乗り越え海外での定着に成功したノマド族は、誰もがユンさんと同じような話をする。韓国企業で働き、後にインド企業に就職したイ・ヘミンさん(27)は、インドでの年収は韓国にいた時よりも1000万ウォン(約92万円)ほど安いが「自分を必要としてくれるところで働けるので幸せだ」と語る。高校を卒業してすぐサムスン電子に就職し、後に韓国の短大を経て日本の企業に再就職したパク・ミジンさん(26)も「やりたいことができるだけで幸せだ」と話した。

 彼らを突き動かす原動力は「海外で自分の能力を認めてもらいたい」という明確な目標とポジティブなマインドであり、「韓国が嫌でとにかく外国に行きたい」というマイナスの発想では決してなかった。韓国雇用労働部(省に相当)の関係者も「海外で就職する人たちの中には、目標が明確でなく『とにかく韓国の現状がつらいから、まずはどこか他の所へ行きたい』というケースもある。しかしそのような場合はほぼ間違いなく失敗して帰ってくる」と指摘する。

 海外での就職は「ヘル(地獄)朝鮮」脱出のための万能薬ではない。国外では安い給与しかもらえず、しかも厳しい成果主義が待ち構えている。海外での就職を目指す若者たちの中には、国外にさえ出ればばら色の未来が待っていると期待する人もいるが、ノマド族たちは「そのような夢は絶対に持つべきでない」とアドバイスする。10年後、20年後の自分の姿を描きながら、夢を持ち続ける「ノマド族ストーリー」が今後も数多く出てくることを期待したい。

社会政策部=パク・スンヒョク記者
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