【コラム】海外就職は「地獄朝鮮」脱出の特効薬ではない

【コラム】海外就職は「地獄朝鮮」脱出の特効薬ではない

 韓国国内ではなかなか見る機会のないキューバ最高のバンドグループ「シンテシス」初の来韓コンサートが30日夜、釜山国際展示場「BEXCO」で開催された。シンテシスはキューバの伝説といわれるブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの伝統を受け継ぐ40年の歴史あるフュージョン・ジャズ・バンドだ。カリブ海、スペイン、アフリカのリズムが混ざり合った独特の音楽「アフロ・キューバン」を体感しようと、公演には500人以上の観客が詰め掛けた。

 このコンサートを企画したユン・チョウォンさん(26)は、韓国初の「キューバ音楽旅行専門ガイド」を夢見る「ノマド族」だ。ノマド族とは決まったオフィスやデスクで働くのではなく、自由に仕事を探し開拓する人たちのことを言う。ユンさんは大学3年生の時に3カ月かけて中南米7カ国を回った際、キューバで現地の文化と音楽に大きな魅力を感じ「いつかこの地で生活する」と決意したという。大学卒業後はいったん韓国-キューバ交流協会に就職したが、昨年からはキューバに移住し現地でガイドとして働いている。本紙が「ジョブノマド」の企画に向けて準備を進めていたところ、キューバの首都ハバナでユンさんに出会った。ユンさんは「韓国でキューバ音楽のフェスティバルを開催するのが夢」と語っていたが、その夢がついに現実となったのだ。

 ユンさんは韓国国内で一般的に就職が不利とされる地方大学の音楽学部出身だ。学費は融資で賄い、キューバに行く時の旅費は結婚式場での演奏のアルバイトやピアノレッスンなどをしながら少しずつ貯めた。

 社会主義国のキューバで生活するのも簡単なことではない。インターネットもつながらないため、歌手のオフィスやスタジオなどを飛び込みで訪問し、数日かけて話を聞いてもらうなど、自らの足で動かねばならなかった。ユンさんの収入は韓国の中小企業の平均初任給よりも安い。しかしユンさんにとって、それはさほど重要な問題ではないという。ユンさんは「キューバで生活することからスタートし、キューバのミュージシャンと交渉して韓国でコンサートを開くまで、少しずつ夢を現実にしていくことが重要だ。好きなことだし自分がやりたくて始めたから、失敗や間違いに対する恐れは全くない」と語る。

社会政策部=パク・スンヒョク記者
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