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刀剣「村正」を一堂に 桑名市博物館

徳川家康が所有したという村正=桑名市京町の市博物館で

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 桑名で生産され、「妖刀伝説」で知られる刀剣「村正」の特別企画展が十日、桑名市京町の市博物館で始まる。県文化財の四振りと、全国からさまざまな由緒を持つ十六振りを集めた。担当者は「いわば村正の“同窓会”。これだけの数がそろう機会はなかなかないのでは」と来場を呼び掛ける。

 二月に市内で所蔵される四振りが、村正初の県文化財に指定されたことを機に企画した。桑名宗社=春日神社、本町=の所蔵品は、うるしを塗った琥珀(こはく)色の刀身。戦時中、こまめに油で手入れする余裕がなく、応急処置でさびを防いでいたことがうかがえる。

 村正の刀工一族は桑名市江場の神館(こうだて)神社の氏子だったとも伝わる。神館神社が所蔵する県文化財二振りも並ぶ。

 村正は徳川家康や父広忠にけがを負わせ、長男信康や祖父清康の命を奪ったという逸話から「徳川にあだなす」という妖刀伝説が生まれた。真偽は定かでないが、打倒徳川を目指した真田幸村、由井正雪らが愛用したという伝承もある。

 その伝説にあやかったのか、幕末に東征大総督として新政府軍を率いた有栖川宮熾仁(たるひと)親王が所有した刀も取り寄せた。

 一方で伝説とは相反し、家康が駿府(すんぷ)城に所蔵したという刀も。村正の刃文といえば雄大な波を思わせる「のたれ」だが、家康由来の一振りは華やかな「皆焼(ひたつら)」の焼き入れがされている。

 会場には村正以外にも、後継の「千子派」の刀剣、桑名藩ゆかりの品など、計四十三振りを展示する。併せてつばや目ぬきなど博物館所蔵の刀装具も紹介する。

 担当学芸員は「村正の知名度は高いが、桑名で打たれていたということはあまり知られていない。桑名の文化として発信したい」と話している。

 十月十六日まで。二日午後一時半から、熱田神宮文化研究員の福井款彦(よしひこ)さんが解説する。入館料五百円。月曜休館(祝日の場合は翌日)。(問)博物館=0594(21)3171

 (遠藤康訓)

 

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