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辺野古で国勝訴 解決には対話しかない

 沖縄県・米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる国と県の対立は、最終的に裁判で決着させるのは難しく、話し合いで解決するしかない。

     翁長雄志(おながたけし)知事が辺野古の埋め立て承認を取り消した処分を撤回しないのは違法だとして、国が知事を訴えた違法確認訴訟で、福岡高裁那覇支部は、国の主張を全面的に認める判決を言い渡した。

     判決は「普天間の被害を除去するには辺野古以外にない」と断定した。「県外移設はできない」という国の判断について「戦後70年の経過や現在の世界、地域情勢から合理性があり尊重すべきだ」とした。

     沖縄県は上告する方針だ。翁長氏は判決について「地方自治制度を軽視し、県民の気持ちを踏みにじる、あまりにも国に偏った判断」と批判し、あらゆる手段を使って辺野古移設を阻止する考えを示した。

     この先、最高裁がどういう判断をするかは見通せない。ただ、最高裁で国の勝訴が確定したとしても、知事の権限は大きく、翁長氏にはいくつかの対抗手段がある。

     例えば、埋め立て承認の「取り消し」ではなく、改めて承認を「撤回」する可能性が指摘されている。

     取り消しが、承認時の手続き上の瑕疵(かし)を理由にした処分なのに対し、撤回は承認後の状況の変化を理由にした処分だ。

     また、移設計画の変更が必要になった場合、国は改めて知事の承認を得る必要がある。知事が承認しなければ計画は進まなくなる。

     福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長は、以前の国と県との代執行訴訟でも裁判長を務めた。その時の和解勧告は、国が勝っても「延々と法廷闘争が続く可能性がある」として、国と県が話し合って最善の解決策を見いだすのが本来あるべき姿だと指摘していた。

     今回の判決文でも、国と県の対立について「互譲の精神により解決策を合意することが対等・協力の関係という地方自治法の精神から望ましい」としている。そのうえで「その糸口すら見いだせない」と話し合い解決の可能性に否定的な見方を示し、判決を出したのだと説明した。

     自民党の二階俊博幹事長は先日、翁長氏と会談した際、戦後日本の安全保障を支えた沖縄の歴史に触れたという。翁長氏は「そういう言葉から始まることが首相官邸ではなかった。大きな壁をつくりながら話をするのか、耳を傾けて話をするのか全然違う」と、沖縄に冷淡な官邸の姿勢を批判した。

     政府は沖縄と形だけの協議はしても、真剣に議論しようという態度に欠けていたのではないか。対話による解決にもっと努力すべきだ。

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