【ニューヨーク=中西豊紀】米消費者製品安全委員会(CPSC)は15日、韓国サムスン電子製の新型スマートフォン(スマホ)「ギャラクシーノート7」のリコール(回収・無償修理)を発表した。充電時に電池が発火する恐れがあるためで、スマホ業界に対する当局の措置としては異例。米アップルも新型スマホを発売したばかりで、シェア争いに影響を及ぼしそうだ。
ギャラクシーノート7はサムスンが8月に発売したが、電池の不具合が見つかり9月に入り韓国や米国での製品の自主回収を発表していた。今回、CPSCが法律に基づくリコールを決めたことで、同スマホの販売や航空機内での使用は違法となるという。
リコールは9月15日より前に発売された約100万台が対象で、地域はカナダとメキシコも含む。サムスンは米国で92件の電池の異常な発熱の報告を受けており、そのうち26件はやけど、55件では車や車庫に火が燃え移る事故を伴うものだった。同社は2日、販売済みのほぼ全量にあたる250万台を10カ国・地域で回収すると発表していた。
スマホ業界では米アップルが「iPhone(アイフォーン)7」を発売し受注を伸ばしている。対アップルを掲げてきたサムスンにとってイメージ悪化にもつながる今回のリコールは大きな痛手。ノート7をテコにした市場での攻勢戦略は見直しを迫られそうだ。