曲作りが緻密になっています 24日に福岡でライブ T-SQUARE 伊東たけしさん
結成40周年を今年迎えたポップインストゥルメンタルバンド「T-SQUARE」。数々の楽曲でサックスやウインドシンセサイザーを担当してバンドの“顔”的な役割を果たしてきたのが福岡市出身の伊東たけしさんです。24日のライブを前に、笑顔がすてきな伊東さんをGETしました!
-SQUAREというと自動車レースF1のテレビ番組「TRUTH」というイメージがあるんですが。
★伊東 音楽家って基本的にどんどん変化を求めないといけないところもある。でも「TRUTH」みたいな曲があると、それをやらないといけない。ずっと「TRUTH」や「宝島」ばっかりだとトーンダウンしていきますよ。そこをスタッフの人たちがうまくやってくれる。僕たちには、アマチュア時代から今の音楽事務所のボス(社長)青木幹夫というのがいて、彼のバンドへの思いがあって続いていると思います。またこの年ぐらいになって名刺代わりの曲があるのは強いですね。
-そもそも、なぜ管楽器を?
★伊東 小さい時から吹く楽器が好きだったんです。ギターもバイオリンもやったけど好きになれなかった。ピアノはだめだけどオルガンは良かった。空気を入れて出てくるあの独特な感じが良かったんでしょう。中学時代はフルートで、高校で渡辺貞夫さんの本を読んだのがきっかけで「これだ!」とサックスを始めました。もともと音楽についてすごく自由を求めるというのがありまして。「これを聞け」と言われるのがいやで。だから音楽の授業も嫌いでした。幼稚園の時に先生が「これが『ド』です」と黒板に書いて話した時に寝てた記憶があるんですよ。変なやつでしょう(笑)。
-SQUAREというと、伊東さんが奏でる音が前面に出ている、というイメージが昔あったのですが、最近は違いますね。
★伊東 多分、作り方がものすごく緻密になって細かい音がいっぱい入ってきているんで。昔のはものすごく分かりやすい簡単に口ずさめるという作りでした。でも、今はいろんな楽器の音の応酬みたいな、その中で役割が一つ一つあったりするんです。だから、歌詞が付くようなメロディーラインはあんまり見えてこないかもしれませんね。でも、メロディーを大切にしポップな音で疾走感や透明感を大事にするというSQUAREの基になる部分は変わっていないはずです。
-曲の変化はメンバーが変わったことにも関係しますか。
★伊東 そうですね。特に30代の坂東のドラミングというのがすごく強く出てきたりするんで。やっぱりビート感というのは時代で変化していくものなんですね。メロディーとかコード進行とかはあんまり変わらないんですよ。でもリズムを聴くと「あっ、これは何年代だ」って分かることありますから。坂東のドラムは、なんで途中でこんなチャチャの入れ方するんだろう、っていうのがあります。ものすごいことやりますよ。彼はSQUAREの昔の楽曲を全部覚えていて、「こうあるべきだ」とビジョンを持っています。でもある時、「オリジナル無視して好きなようにやってみろよ」と言ってみたら、そこからすごい解放されてきて、もう今や恐ろしいくらいいろんなことがあり、びっくりするぐらい曲が変化しています。そのぐらい時代のビートというのはあって、やっぱり若い子が同じ曲をやると変わるんだとまざまざと見せつけられています。あの「TRUTH」のオリジナルは今の僕らには再現できないんですよ。
-福岡でのライブが控えていますが。
★伊東 4月に出したアルバム「Treasure Hunter」をメインに構成しています。このアルバムは少年の探求心、冒険願望みたいなことをテーマにして、今はやりのEDMを入れたり、教会で活動している若いゴスペルドラマーの演奏に挑戦したりとかしてます。ただ、CDを聴いてこられても、タイトル曲から違うビートになって登場するんで、びっくりされるかもしれません。でもかなりいいメニューで出来上がっているんで、かなり面白いと思います。ちょっとこれまでと違ったSQUAREの姿を見てもらえるかなと。もちろんお約束の曲もちゃんとやります。
▼いとう・たけし 1954年3月15日生まれ、福岡市出身。THE SQUARE(現T-SQUARE)結成の1年後、77年に加入した。ソロ活動のためにいったんバンドを離れるが復帰。現在のメンバーは創設メンバーの安藤正容(61)=ギター=と途中加入の河野啓三(45)=キーボード=と坂東慧(32)=ドラムス=の4人。24日午後4時半から、福岡市中央区の電気ビルみらいホールでライブ。BEA=092(712)4221。11月には鹿児島、熊本、大分でもライブがある。
=2016/07/10付 西日本新聞朝刊=