News Up もう必要ない?「スーパー防犯灯」

News Up もう必要ない?「スーパー防犯灯」
「スーパー防犯灯」をご存じでしょうか。街頭での犯罪を防止するため、カメラや通報システムなど多くの機能を備えた街灯です。設置にかかる費用は1基当たり数百万円。平成13年から全国各地で整備が進められてきました。ところが、最近は使われないまま放置されているものもあるといいます。なぜでしょうか。
スーパー防犯灯は、サイレンや防犯カメラなどが付いていて、犯罪に遭った場合、ボタンを押すだけで警察署に通報ができ、同時に周辺のスーパー防犯灯も連動して、撮影した映像が警察署に送られる仕組みです。
平成13年から警察庁が主導して整備が進められ、平成23年度の時点では27都道府県に776基が設置されていました。過去には、この装置が使われ、ひったくりや傷害事件が解決したこともあります。
しかし、その後、スーパー防犯灯は減り続け、昨年度は18都府県の426基にまで減少しました。
さらに最近では、存在意義自体に疑問の声が上がる事態が起きています。

スーパー防犯灯で犯罪防止

スーパー防犯灯は、サイレンや防犯カメラなどが付いていて、犯罪に遭った場合、ボタンを押すだけで警察署に通報ができ、同時に周辺のスーパー防犯灯も連動して、撮影した映像が警察署に送られる仕組みです。
平成13年から警察庁が主導して整備が進められ、平成23年度の時点では27都道府県に776基が設置されていました。過去には、この装置が使われ、ひったくりや傷害事件が解決したこともあります。
しかし、その後、スーパー防犯灯は減り続け、昨年度は18都府県の426基にまで減少しました。
さらに最近では、存在意義自体に疑問の声が上がる事態が起きています。

使われないままに・・・

〈静岡では〉
静岡県には35基のスーパー防犯灯が設置されています。このうち10基が設置されている浜松市では、そのすべてが3年前から使われていないことが分かりました。
設置から時間がたって、防犯灯と警察署をつなぐケーブルや装置が劣化し、壊れてしまったのです。警察はいったんは撤去する方針を示しましたが、地域の住民が反対したため、撤去するか修理して使うのか決められないまま放置されてきました。
住民が自分たちで買い替えることも考えましたが、スーパー防犯灯は1基およそ300万円。市内にある10基の費用を捻出することは到底できませんでした。結局、NPO法人が企業の広告を表示して収入を維持費用などにあてる多機能の防犯灯の導入を持ちかけ、警察のスーパー防犯灯に代わって設置されることになりました。
しかし、浜松市以外の地域でも、ことし6月以降はすべてのスーパー防犯灯で通話機能が使えなくなっていますが、修理や代わりのものを設置するめどは立っていないということです。

〈神奈川では〉
神奈川県では2億円余りをかけて50基が整備されました。しかし、スーパー防犯灯から映像を受ける警察署のモニター関係の交換部品の製造が終わってしまったため、4年前から「スーパー防犯灯」として機能しなくなるものが出始め、結局、現在残っている30基はすべて機能を失い、街灯としてのみ使われています。
神奈川県警察本部は、住民から不安の声も寄せられていることから、一部をモニター機能がついてない独自の通報装置に切り替えたほか、撤去して防犯カメラを設置することを検討しているということです。

〈大阪では〉
また、大阪でも平成25年度には194基がありましたが、現在は73基にまで減っていて、このうち20%程度は壊れたり一部の機能が使えなくなったりしています。
維持費は1年で1基当たりおよそ20万円。大阪府警察本部では、高感度の防犯カメラへの切り替えを進めているということです。
ただ、地域住民が設置の継続を希望しているところもあるということで、その地域についてはスーパー防犯灯を再び設置することにしています。

撤去を進めるところも

これまでに100基余りが設置されてきた東京では撤去する動きが広がっています。警視庁によりますと、およそ3億6000万円をかけて設置された109基のうち、現在も残っているのは56基で、およそ半数がすでに撤去されました。
理由は費用対効果が低いことです。携帯電話の普及によって緊急通報装置としての必要性が薄らいだほか、通報のほとんどが「機械の不具合」か「いたずら」で、事件や事故の通報は去年は1件もありませんでした。
さらに、1基当たり年間30万円ほどかかる維持費の負担も大きくなり、現在も残っているのは、地域の防犯カメラと連動したシステムとなっている町田市の中心部など5つの地区だけとなっています。

効果の検証が必要

設置だけでなく、維持管理にも多額の税金が使われてきたスーパー防犯灯。静岡県では毎年900万円の予算が使われてきました。
静岡県警察本部は「一部の部品はメーカーの製造が終了して手に入らないものもあるので、今後、復旧が見込めない場合は撤去も考えたい」と話しています。

犯罪学が専門で、犯罪予防にも詳しい拓殖大学の守山正教授は「多額の税金を使っている以上、きちんと効果を検証し、必要性が薄いのであれば撤去を進めるべきだ」と指摘します。そして、「今はほとんどの人が携帯電話を持っているので、わざわざ防犯灯のところに行ってボタンを押すというシステム自体が古いのではないか。犯罪防止の観点で言えば、防犯カメラだけでも効果があり、性能も上がっているので、今後はそういった形に切り替えていってもいいのではないか」と話しています。

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