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【芸能・社会】

元愛人と視線合わせず 高知被告に懲役2年執行猶予4年

2016年9月16日 紙面から

東京地裁に入る高知東生被告を乗せたとみられる車(稲岡悟撮影)

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 覚せい剤取締法違反(所持、使用)などの罪に問われた元俳優の高知東生(本名・大崎丈二)被告(51)と、知人で元クラブホステス五十川敦子被告(34)の判決公判が15日、東京地裁で開かれた。室橋雅仁裁判官は両被告に対し懲役2年、執行猶予4年(求刑は共に懲役2年)の有罪判決を言い渡した。両被告は起訴内容を全面的に認めており、控訴せずに判決は確定する見通し。

 高知被告は8月31日の初公判時と同じく黒のスーツにネクタイを締めた短髪姿で、表情を変えることなく入廷。続いて入廷した五十川被告はやや濃くなったメークに前回と同じ黒のスカートスーツ姿。開廷から閉廷まで約10分ほどの間、高知被告はかつての愛人と視線を合わせず“関係断絶”を印象づけた。

 裁判官が大きな声で主文を読み上げ、判決を言い渡すと、証言台に並んで立っていた高知被告と五十川被告は直立不動のまま黙って聞き入った。その後、量刑理由の説明が行われ、裁判官から「分かりましたか?」と確認を求められると、高知被告は証言台に立ったまま「はい」と小さな声で返答。隣にいた五十川被告は声を発しなかった。

 その後、裁判官は高知被告に対し「今回の事件であなたが失ったものは大きいけど、これから切り替えていく人生がある。10代からの薬物使用を話したのは、更生したい気持ちが背中を押したのだと思う。(エステ店の経営など)健康にかかわる仕事をするのはすごくいいことだけど、まずあなた自身が心身共に健康になることが第一。支援者の期待を裏切らないよう頑張って」と説諭。高知被告は再び「はい」と返答。退廷の際には唇をかみしめながら、傍聴席の隅にいた関係者と思われる男性に向かって軽く会釈した。

 高知被告と五十川被告は6月24日、横浜市内のホテルで覚せい剤を吸引し、所持していたところを逮捕された。事件後に離婚した元妻で女優の高島礼子(52)について、高知被告は初公判で「別れた女房にどれだけ迷惑をかけたか、心から申し訳ないと思います」と謝罪していた。

◆高島礼子 コメントなし

 関係者によると、高知被告と離婚を8月に発表した女優の高島礼子はこの日仕事はオフ。判決についてコメントは出さないという。

 高知被告と親交のあった俳優嶋大輔(52)と中野英雄(51)の業務提携先は、本紙の取材に「担当者が外出している」とし、コメントを控えた。

◆高知東生被告 表情見せず…

 裁判を終えた高知被告はこの日午後1時50分すぎ、黒い車に乗って東京地裁の車両用出口を出発。出発時、車は30人ほどのカメラマンらに取り囲まれたが、車内はカーテンで仕切られて高知被告の表情はまったく見えなかった。午後2時ごろには五十川被告を乗せた車が現れ、同被告は後部座席に座りうつむいたまま。両被告とも何も語らず裁判所を後にした。

◆元東京地検検事・落合弁護士の目

 元東京地検検事の落合洋司弁護士は初公判の際、本紙の取材に対し「懲役2年、執行猶予は3年から心証次第で4〜5年もあり得る」と予想。判決は想定通りの内容となった。

 判決では高知被告について相当長期間に及ぶ薬物使用歴や、覚せい剤の所持量が多いことなどを挙げて「常習性及び覚せい剤等の薬物依存性が顕著に認められる」と指摘。五十川被告についても常習性や依存性を認め「被告人両名の刑事責任を軽視することはできず、被告人両名の本件行為は厳しい非難を免れない」とした。

 落合弁護士によると、初犯で使用だけなら通常は懲役1年6月程度。しかし今回の事件では所持が加わり、高知被告と五十川被告の共同所持量が約4グラム、さらに五十川被告は単独所持量も含めると約6グラムと多い。2人が共同使用し始めたのも「2008年ないし2010年ころから」としており、判決は所持量や常習性を考慮して量刑を重くした検察側の求刑に合わせた形となっている。

 一方で判決は、両被告が犯行を素直に認めていることや、薬物関係者との関係を絶って再犯しないことを誓っていること、前科前歴がないこと、報道などで社会的制裁を受けたことなど「酌むことのできる事情」を列挙。高知被告については保釈後に専門病院へ通院を継続していることや、長年の支援者が更生に協力する上申書を提出していることも指摘。五十川被告についても初公判で父親が出廷して家族で更生に協力を約束したことを挙げ、実刑回避の理由を説明した。

 落合弁護士によれば前科がなければ執行猶予は3年が普通だが、裁判官がより自省を求めるために4〜5年にする場合もあるという。この日の法廷では裁判官が、両被告に「しっかりと自分を戒めてください」と念を押す場面もあった。

◆一般傍聴券 倍率は約19倍

 東京地裁によると、この日は20席の一般傍聴券を求めて384人が並び、約19倍の抽選となった。

 初公判(8月31日)は一般傍聴券18席に対して1198人が並び、約66倍の倍率だった。

 

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