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【大相撲】

稀勢の里が平幕相手に2敗目

2016年9月14日 紙面から

栃ノ心(右)に渡し込みで敗れ、土俵下に落ちる稀勢の里=両国国技館で(河口貞史撮影)

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◇秋場所<3日目>

(13日・両国国技館)

 綱とりの大関稀勢の里(30)=田子ノ浦=は栃ノ心の渡し込みに屈し、早くも2敗目を喫した。2横綱では日馬富士が平幕隠岐の海に寄り倒されて、土がついた。隠岐の海は2日連続4個目の金星。鶴竜は嘉風を押し倒して初白星を挙げた。

 他の大関陣では、かど番の豪栄道が小結栃煌山を首投げで退けて3連勝。同じくかど番の琴奨菊は関脇高安に敗れ、正代を下した照ノ富士とともに2勝1敗となった。

 悲鳴の初日から大歓声、そしてまた悲鳴。立ち合い、力自慢の相手のまさかの変化に、稀勢の里の体がぐらりと泳いだ。何とか残し、相手の右腕を抱え込むように突き落としを狙ったが、こらえ切れない。右脚を取られ、渡し込みで土俵下まで転落。尻もちをついて、痛すぎる黒星をかみしめるしかなかった。

 取組直後、口元はぎゅっと「への字」に結んだまま。支度部屋に戻り、風呂場への扉を荒々しく開け閉めした音が、想定外の一番への動揺を物語っていた。初日に土がついた焦りがあったのか。報道陣に消え入るような声で「うーん、まあね。落ち着いていけば良かったですけど」

 綱とり場所では未経験の黒星先行となった。万全を強調してきた右かかと痛の影響か。リズムに乗れない序盤戦を振り返って「どうでしょうかね」と吐き捨てると、目を伏せて沈黙とため息を繰り返した。

 ところが…。綱とりの前提条件となる初優勝が遠のいたかに思えた稀勢の里が国技館を去った直後、すぐにチャンスはよみがえった。結びの一番で、日馬富士が初黒星を喫したのだ。

 稀勢の里の取組直後に「今場所は日馬富士次第だよね」と話していた八角理事長(元横綱北勝海)。「あと全部勝てば13勝2敗。ただ、残りを全勝するには、横綱大関に勝たないといけないけど。気持ちを切らないことだね」と、連勝で地力を示す必要性を示して「誰にでも言えるけど、最後まであきらめないということ」と綱ロードへの心構えを説いた。

 早くも自力Vはついえたが、宿敵白鵬は不在。加えて全勝の大関以上は1人だけになった。崖っぷちの稀勢の里。かすかな追い風を力にできるか。(志村拓)

 

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