【コラム】日本政府の拠出金10億円は恥ずかしいカネなのか

 日本が支払った10億円はどんな性格のものなのだろうか。「法的賠償」に取って代わる金なのだろうか。個人の賠償権は誰も無効にできない。元慰安婦支援団体は韓国をはじめとする世界各国の法廷で賠償努力を続ければいい。「最終的かつ不可逆的解決」という約束は当然、政府だけを縛るものだ。10億円は「少女像」撤去の代償なのだろうか。そうならば、日本政府は少女像がまだ設置されている今の時点で送金しなかっただろう。

 野党代表は10億円を「名分のない金」と言った。昨年の韓日合意文を読めば誰でもすぐ分かるが、「日本政府の責任を痛感」「首相の謝罪と反省」が名分だ。10億円が恥辱的だという彼らの主張は、この金を支払うようにさせた日本側の加害者に当てはまる話だ。元慰安婦にとって恥ずかしい金であるはずがない。野党は「昨年の韓日合意は元慰安婦の同意なしに行われた」と批判している。もしそうなら、韓日合意に彼らが押した烙印も元慰安婦全員の気持ちをどれだけ反映しているのか、検証すべきだろう。

 日本政府から10億円を受け取った財団の名前は「和解・癒やし財団」だ。これに対して元慰安婦支援団体が主導する財団の名前は「正義・記憶財団」だ。「和解・癒やし」も「正義・記憶」も重要だ。政府に登録した元慰安婦のうち198人が亡くなった。あとの40人の平均年齢は約90歳だ。このうち誰が存命中の和解と癒やしを求めているのかは分からない。日本政府の責任痛感と首相の謝罪をそのまま受け入れたいという人もいる可能性がある。もちろん、ただ切実に金を必要としている人もいるだろう。正義と記憶のために一生をささげた元慰安婦たちの意志が尊重されたように、受け取りを希望する元慰安婦の意志も尊重されるべきだ。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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